2019年1月号 連載
思想や支持政党の違いはあろうとも、誰が見ても「間違いではないか」「嘘だろう」ということは往々にしてある。だが、昨今の権力者たちは、権力を悪用し、自分や身近な人の利益になることばかりを考え、居心地のいい座にしがみつこうとする。ましてや、自分と考えが違うグループへの配慮は皆無だ。悲しいことに、多くの人は、「それがおかしいこと」と感じながらも社会のヒエラルキーの中で、声を上げられないでいる。
私はFACTAが創刊したころからの愛読者だ。FACTAはこれまで、きめ細やかな調査取材に基づき、ぶれない社会正義を多岐にわたって伝えてきた。様々な世間の理不尽な事柄に対し「声を上げられないが、許せない」「怒りが爆発寸前だ」と感じている人たちの救世主だと思う。
「嘘つきは泥棒の始まり」と言うが、嘘つきも盗人の範疇に入るとすると、この言葉は今も生きている。「浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」。次から次へと明るみに出る悪事や社会の不正義を、これからも丁寧に伝えてくれることを期待したい。
(株)コーテックインターナショナル 水野純生