亀石擁立で辰巳落選の危機 枝野立憲民主が「共産党外し」

2018年11月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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旗色が悪い共産党の志位和夫委員長(10月13日、第5回中央委員会総会、撮影/本誌 宮嶋巌)

「見飽きた顔と見慣れない顔を集めたインパクトのない布陣。閉店セール内閣で(政権の)終わりの始まり」――。10月2日に発足した改造内閣の顔ぶれを見た共産党の小池晃書記局長は、切れ味鋭いコメントを連発した。その2日前の沖縄県知事選では野党5党が支援した玉城デニー氏が圧勝し、共産党内には野党共闘への期待が膨らむ。ところが、野党共闘の内実は「共産外し」の方向へと流れ始めているようだ。

立憲民主党は9月28日、来年夏の参院選大阪選挙区(改選数4)に弁護士の亀石倫子氏を擁立すると、突如発表した。青ざめたのは共産党だ。同選挙区は13年参院選で維新、自民、公明、共産が各1議席を獲得し、4位当選した辰巳孝太郎参院議員は、名実ともに共産党の次世代ホープだ。党幹部は「知名度抜群の亀石氏と組織力の公明党の議席は堅い。自民か維新を蹴落とさない限り、辰巳の再選は厳しい」とこぼす。

同じく共産が現職を抱える京都選挙区(改選数2)でも、立憲民主が自前の候補を立てる構え。共産党が東京選挙区(改選数6)以外の選挙区で議席を獲得するのは至難の業だ。野党共闘をリードするはずの立憲民主から事前調整や根回しは一切なし。共産は「実質的な野党共闘は1人区だけ」(党幹部)と割り切るが、枝野幸男代表は相変わらず強気で「最後は共産がなびいてくる」(枝野氏周辺)と、共産が全ての1人区で求める政策協定の締結や相互推薦に向けた交渉も一切受け付けない考えだ。

「反原発」のカリスマ的な芸人、おしどりマコ氏。鳥取大学医学部を中退した才女(撮影/宮嶋巌)

一方、共産党が主戦場と位置づける参院選比例区でも雲行きが怪しくなってきた。9月末に立憲民主は、反原発のシンボル的な芸人のおしどりマコ氏の公認を決定。マコ氏は共産党のインターネット番組「生放送!とことん共産党」に登場し「共産党が野党第1党でいい」と明言していただけに痛手だ。さらに立憲民主と国民民主の支援団体の連合が参院比例区を、共産党を除く統一名簿で戦う構想をぶち上げるなど、志位和夫委員長の旗色は悪い。「野党共闘」は、共産党の土台を崩す「もろ刃の剣」となりつつある。

   

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