2017年1月号 連載
経済メディアに26年従事してきたからこそ、「大手町と霞が関の取材だけで経済を分かった気になるな」と肝に銘じてきた。だから財界誌からネットまでくまなく見るがFACTAも欠かさず目を通す。
やはり気になるのは原発関連の報道。2016年2月号の橘川武郎・東京理科大学大学院教授の『「もんじゅ廃炉」は愚かな道』が指摘する「原発の賛否に関わらず社会全体が解決すべき使用済み核燃料の処理問題」など、原発推進か再稼働かという二項対立で解けない複雑な問題を丁寧に報道している姿勢がいい。
この頁の某月風紋も必ず目を通す。原子力規制庁の中途採用であぶり出した「オールジャパンで原子力人材が払底している」状況などはメディアが伝えるべき視点だ。
エネルギー問題だけでなく、15年以上続く慢性デフレの真因と打開策、ネット時代のメディアの新しい姿、資本主義の次の世界など、骨太のテーマで、どちらが新しい視点や切り口、ウルトラCの処方箋を提示できるか、誌面で勝負したい。
週刊エコノミスト編集長 金山隆一