安倍暴走vs国民良識 政治の流れを変える!

岡田 克也 氏
民進党代表

2016年5月号 POLITICS [インタビュー]
聞き手/本誌編集長 宮嶋巌

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岡田 克也

岡田 克也(おかだ かつや)

民進党代表

1953年三重県生まれ。東大法卒。旧通産省入省。90年衆院初当選(通算9回)。93年自民党を離れ、98年民主党を結成。09年政権交代を実現し、外相、幹事長、副総理などを歴任。3月27日維新の党と合流し、初代民進党代表に就任。

――初代民進党代表として7月に参院選に挑みます。衆参同日選の可能性は?

岡田 不利な状況が生じたらリスクを避けるでしょうが、十分に有り得る。民進党は安倍政権の暴走を止めなければなりません。結党宣言に記(しる)したように、戦後70年、日本は時代の大きな分岐点にあります。ここで、絶対に道を誤ってはならない。安倍政権のもとで表現の自由、知る権利といった、憲法が保障する基本的な権利が脅かされ、憲法の根幹である平和主義が蔑(ないがし)ろにされている。アベノミクスの結果、格差が広がり、国民とりわけ子ども、若者が将来に希望が持てない状況になっています。その危機感を共有する多くの国民と共に戦い抜き、ここで政治の流れを変えなければならない。

「格差の壁」打ち破る重点政策

――結党大会で「日本に政権交代可能な政治を実現するためのラストチャンス!」と、語気を強めましたね。

岡田 「政権交代のある政治」を政治信念とする私にとって民進党は「三度目の正直」なんです。最初は新進党(1994年)、次が民主党(98年)でした。政権与党として民主党は、大事な時に結束するどころか分裂した。今度こそ、政権交代のある政治を実現しなければ、国民から見捨てられます。

私が政治家になって26年。それ以前と大きく認識を変えたことがあります。それは地域で生活する、普通の人々の素晴らしさです。座談会、ミニ集会で、多くの出会いがありました。自分だけではなく、地域全体のことを考える皆さん。今だけでなく、日本の将来、若い世代のことを思い、責任を果たすという強い思いを持った皆さん。こうした素晴らしい人々がある限り、この国は大丈夫だ、日本の将来は明るいと、私は確信しています。政治の根本は、国民を信じ、国民が持つ素晴らしさを引き出すことではないでしょうか。政治テクニックに走ることなく、国民と正直に率直に語り合い、国民と共に素晴らしい日本をつくっていくこと――。これが結党の誓いなんです。

――民進党は「共生」を結党の理念に掲げたが、わかりにくいですね。

岡田 平たくいえば、格差の小さい社会をつくるということです。私たちが問題とする格差は、個人の努力ではどうあっても乗り越えられず、諦めと絶望を呼ぶ格差です。それが「格差の壁」となり、人々の能力の発揮を阻み、社会の基盤や経済の潜在力を弱めています。社会の変化に適合した税や社会保障の「再分配」を強化し、格差の壁を打ち破り、人々の安心と意欲を増し、一人ひとりの能力が最大限発揮できる社会を実現することが政治の責務です。安倍政権のもとで実質賃金は下がり続け、非正規雇用が増え、中間層が崩壊しかかっています。特に貧困に苦しむ子ども、非正規から抜け出せない若者、差別に苦しむ女性、貧しい高齢女性に対する強い支援が必要です。

――我が国の一人親世帯の貧困率は55%、被用者に占める非正規雇用の割合は40%に及んでいます。

岡田 格差拡大で子どもや若者を潰しておいて成長などできっこないし、「公正な分配なくして持続可能な成長なし」です。そこで私たちは4月5日、「格差の壁」を打ち破る11の具体策を発表しました。昨年1月、党内に共生社会創造本部を発足させ、全国各地で格差・貧困に苦しむ人々、その方々を支える地域の皆さんの声をつぶさに伺いながら、「共生社会」の実現に向けた基本的考え方を煮詰めてきました。▽児童扶養手当の大幅拡充▽渡し切り(給付型)奨学金の創設▽最低賃金の引き上げ▽介護職・保育職の待遇改善▽「同一価値労働同一賃金」の法定化▽低年金者に対する支援▽金融所得課税の引き上げなど11の重点政策(共生イレブン)は、目下の最大の政治的課題であり、参院選の争点として、声を大に訴えていきます。

ドラマ背負った候補の「白兵戦」

――衆院北海道5区補欠選挙(4月24日)が目前に迫っています。

岡田 安保法制強行後、初の国政選挙であり、安倍政治を勢いづかせるのか、それともストップをかけるきっかけをつくるのか、日本中が注目する選挙です。

――自民党は亡くなった町村前衆院議長の娘婿を擁立。勝ち目はありますか。

岡田 「市民の会」の呼びかけで候補者を池田真紀さん(43)に一本化し、野党4党が一致団結して戦います。安倍政権の暴走を止める野党結集の初陣です。

池田さんは20年間、福祉や介護の現場で働きながら、シングルマザーとして2人の息子さんを育て上げ、独学と通信教育で「ヘルパー1級」「社会福祉主事」「介護支援専門員」「介護福祉士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」「防災士」の資格を取得。中学校に通うのも困難な生い立ちを乗り越え、大検に合格し、社会人学生として北海道大学公共政策大学院に学び、修了しました。今まさに自民党候補の背中を摑むところまできました。最後は候補者同士の白兵戦になります。池田さんはドラマを背負った素晴らしい候補であり、本当に国会に来て欲しい人材なんです。一人でも多くの皆さんに彼女と接し、話を聞いてもらいたいと思います。

――共産党が候補者を次々に取り下げ、与党は野合批判を強めています。

岡田 共産党と連立は有り得ず、ギブアンドテイクの選挙協力も取り引きも何もない。安倍一強を利さぬよう候補者取り下げに、ご尽力頂いているだけです。

――志位委員長は「岡田さんを信頼している」と言い続けています。

岡田 私も志位さんを非常に信頼しているが、最近は少し連絡を控えています。

――携帯をかけ合わないのですか?

岡田 うん。枝野幹事長と小池書記局長に任せています。野党4党の協議の場もある。私と志位さんが並んでいるような写真を撮らせたら、自民党を喜ばせるだけですから(笑)。安倍さんや自民党は「自公」vs「民共」などと吹聴していますが、参院選は「安倍暴走」vs「国民の良識」の天王山。絶対に負けられない。

   

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