2015年9月号 連載
FACTAには何度か私自身に関して書かれている。揣摩(しま)憶測というべき記事もあり、損害賠償請求訴訟を検討したこともあったが、それがまた批判や揶揄のターゲットになるだけだと思って断念した。
今、私は2カ月に一度くらいの頻度でミャンマーを訪れ、微力ながら彼の国の土台づくりのお手伝いをさせていただいている。現在のミャンマーは、日本になぞらえれば明治維新と昭和30年代と21世紀が同時進行している状況だ。
当世の日本人はミャンマーとは違って「安全・快適・コンビニエント」に身を委ねているように見えるが、この状態が千兆円を超える政府の借金、人口減少・少子高齢化、エネルギー資源ゼロという背筋の凍るような崖っぷちで維持されていることに思いを致しているのか、否か。
好き嫌いを超えてあえて申し上げれば、この太平楽で批判・非難に終始するのみならず、「ではどうすればいいのか」という問題提起も併せて世に問う見識をFACTAには期待している。
元内閣官房長官 仙谷由人