読者の声

2014年10月号 連載

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書店はイノベーションを題した書籍で溢れ、多くの人がいかにイノベーターになるか悩み学んでいる。しかし実際に革新的な製品は出たか。現実は多少表面的に新しい程度の半端な結果の量産だ。特に過剰なリスク回避でイノベーションの芽を摘んでしまった商品も多い。これは個人はイノベーションを志向していても、組織体として実践できていないからではないか。つまり組織病が原因だ。

『決定の本質』(グレアム・アリソン著)は組織行動が組織内政治の結果であるという側面をキューバ危機を事例に示した。世界の存亡をかけた事態さえ組織病からは逃れられない。だからこそ組織内政治があることを認め正視することが、革新のために必要な知的態度である。

FACTAの報道は常に組織内政治の迫真に迫っている。我々のような若い組織にとって学びの多い先行事例集だ。企業と役所の名前を並べ分析したふりをするに墜ちた他誌とは違う。この知的誠実さの継続をお願いし一読者として応援したい。

在日本留学生会協議会 事務局長 射場本健彦

   

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