編集後記

2014年6月号 連載
by 宮

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福島第一はもちろん、沸騰水型原子炉建屋の大半を建築した鹿島が凍土方式の遮水壁に挑む。実証試験を終え、近く本格着工をめざす。1Fにひしめくタンクは1千基を超え、貯まった汚染水は46万t。建屋に流れ込む地下水によって、日々400tの汚染水が増え続けている。

政府は窮余の策として1~4号機を取り囲む総延長1500mの「氷の壁」を造る計画に320億円の国費投入を決めた。地下に埋め込んだ凍結管に零下30℃の冷却液を循環させ、厚さ2m、深さ30mの凍土壁を築く目論見だ。「世界に前例のないチャレンジングなプラン」と評される凍土方式を提案したのは鹿島だ。トンネル工事でおなじみの凍結工法に長(た)けた地盤改良会社は国内に2社しかなく、うち1社が鹿島の子会社。特殊な工法が選ばれたのは「高線量下での施工期間が短く、地下埋蔵物があっても施工可能性が高いからだ」(資エネ庁)。

最前線に立つ工事事務所長の淺村忠文さんは「建屋の周りには非常に重要な配管ケーブルがあるので慎重にルート選定から始めます。最大400人ぐらいの作業員が必要ですが、悩みの種はクレーンオペレータです。最大20台を動かす計画ですが、線量の関係で1台に2~3人を要するところも。経験年数や無事故記録などの条件をクリアして、初めてクレーンを運転できるようになります」と言う。

81年に鹿島に入った淺村さんは「原子力室」に配属され14年をすごした。同室が創設されたのは1956年。10年後に鹿島は初めて福島第一1号機の工事受注に成功する。以来、国策原発と歩む「鹿島のDNA」が受け継がれてきた。「着実に、その時にできることを積み重ねて、歩みを止めないこと。ここから絶対に引いてはいけない」(淺村さん)。いわきの現場事務所の至る所に「見せろ鹿島の底力」のスローガン。きっと、ご安全に――。

   

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