スマホ配車「Uber」ひっそり上陸の苦肉

2014年2月号 BUSINESS

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Uberの操作画面

「Hello Tokyo! Now we are in Tokyo!」

昨年11月13日、米国生まれのハイヤー配車サービス「Uber」は、威勢良くテスト運行の開始をツイッターで宣言した。世界20カ国超でサービスを展開するUberは、話題のスマートフォンアプリだ。

Uberを使えば空車のハイヤーを探し出し、GPS機能を使って乗車場所まで呼び出すことができる。あらかじめ登録してあるクレジットカードで決済されるため、キャッシュレスで乗車できるのが利点だ。乗車後に運転手の評価システムを導入しており、著しく評価が低い運転手は登録から抹消されるなど、サービス品質を保つ工夫も相まって、人気を博している。日本では東京・六本木を中心に数台のハイヤーが走り始めている。

「みんなに聞かれて困っているんですよ」。Uberで運行するハイヤーの運転手が困惑する。数多くのメディアがUberのハイヤーに乗り込み、取材しようとするからだが、Uberは現在メディアの取材を拒否し続けている。ツイッターでは積極的に利用者と交流しているUberだが、必要以上に注目を浴びたくない理由があるようだ。

日本の道路運送法にはハイヤーを定義する条文はなく、唯一タクシー業務適正化特別措置法の中の用語解説で「一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供する自動車で当該自動車による運送の引受けが営業所のみにおいて行なわれるものをいう」と触れられているだけだ。つまり、ハイヤーは乗客からの依頼があった場合、営業所から出発して乗客を降車させた後、再度、営業所に戻らないと新たな乗客を乗せられない。そのため、Uberは日本では道路運送法ではなく、旅行業法の企画旅行としてハイヤー配車サービスを展開するという苦肉の策を取っている。

Uberが目立ちたくない最大の理由は訴訟を恐れているからだろう。実際、Uberはこれまで展開してきた様々な都市で規制当局などと訴訟に発展している。約1年前には米サンフランシスコのタクシー運転手が集団提訴。タクシー会社としての規制を逃れながら、同様のサービスを提供していると訴えられている。

日本のUberがサービスを開始した後も、メディア露出を高められない理由がここにある。しかも、サービス開始に当たって組んだ相手が良くなかった。訴訟のオンパレードである業界の異端児、エムケイグループだからだ。グループ会社の東京エムケイは新年早々、未払い賃金を求めた運転手から訴訟が相次ぐなど、Uberにとっては思わしくない状況が続いている。

さらに、各タクシー会社も客を奪われまいと次々に独自の配車アプリを開始しているうえ、1月中には日本マイクロソフトが東京ハイヤー・タクシー協会による共通配車サービスを発表する予定だ。先進的なサービスとして世界で注目されるUberだが、メディア露出を避けた口コミ頼みの集客戦略では限界がある。このままでは、規制とライバルの多い日本では埋もれた存在になりかねない。

   

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