最近とみに多様なメディアの必要性を痛感する。新聞だけでは摑みづらいニュースが増えてきた。グローバル化した社会にはニュースが溢れ返り、粗い笊（ざる）の目から零れるニュースが多くならざるを得ないのだろう。

複雑なニュースになればなるほど背景の解説がなければ理解しにくい。社説もニュースの海で溺れないようにするライフジャケットでもある。外すわけにはいかない。だが、新聞社では「ベタ記事」にこそ大事なニュースが潜んでいると口酸っぱいほど教えられてきた。ささやかに伝えられる「人事消息」の裏にどれほどの権力闘争が潜んでいることか。

零れ落ちた、あるいは無視され、隠されたニュースをいかにして入手するのか。常識に囚われない切り口、権力に媚びない姿勢にこそ真実に迫る鍵があるのかも知れない。

FACTAは、その情報収集力、凄まじい切り口、見事な分析にいつも舌を巻く。政治記者から離れたせいか、それとも年のせいか、いささか感度が鈍くなった触覚を覚醒させてくれる有り難い存在である。　

政治評論家　髙橋利行