インデックス「循環取引」解剖で浮かぶワル

2013年8月号 DEEP

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証券取引等監視委員会の強制調査を受けたインデックスが6月27日、民事再生法適用を申請した。欧州子会社が6月に更生手続き開始が決まり、インデックスと並んで日本振興銀行とつながりの深かったNISグループ傘下のエヌ・アイ・ストラテジック・パートナーズも同月、特別清算の開始が決まった。振興銀のネットワーク企業の中核だったインデックスの破綻で、「銀行版循環取引」を含め裁判所の監督下で司法解剖が始まる。

注目点のひとつは循環取引の実態だ。民事再生法申請時にインデックスは東京地裁に疎明資料を提出。それを見る限り、一般債権者の一覧表にインデックスとの循環取引を疑われている上場企業の名前は見当たらない。しかし信用調査会社から「それがかえって怪しい。(まだ法的整理に踏み切っていない)グループ企業を通じて循環取引を繰り返していたのかもしれない」との指摘も出ている。

奇妙なことにインデックス単体が破綻しただけで、7月10日現在、グループ企業群に連鎖倒産は1社もない。しかし一般債権者の上位3社(インデックス・デジタル・メディアとインデックス・アミューズメント、スタイル・インデックス)はいずれもインデックス子会社で金額的にも突出しており、これらが破綻することがあれば、パンドラの箱が開くのかもしれない。

もうひとつのポイントは、振興銀行との不明朗な資金のやり取りだ。過去の有価証券報告書をみると、2010年8月期に興味深い記述が見つかる。その期末にインデックス単体、子会社のシルバーアロー・モバイルなどは振興銀系列の中小企業保証機構(同年10月に民事再生法申請)に対する貸付金をAAアドバイザーズに譲渡している。AAは前号で指摘したように、落合正美会長の資産管理会社傘下で金融コンサルタントを営み、インデックスの連結決算に影響を及ぼすことはない会社だ。

債権譲渡に当たってインデックスなどは貸倒引当金を積んではいるが、果たしてそれが十分だったかどうか。開示義務がやかましくないAAに計40億円も譲渡したのには、それなりの理由があるはずだ。

また、インデックスとその元子会社は「資本のハイエナ」の手先と化していた疑いが濃い。

インデックスの有価証券報告書には、どこで何をやっているのかさっぱりつかめない取引先や融資先企業、グループ会社がいくつも出てくる。現在もインデックスから約18億円を借り入れているビッグヒット(東京・千代田区)もそのひとつで、11年8月期の第4四半期までインデックスの子会社だった。

ビッグヒットは外部に売却された後、コネクトホールディングスなど経営難に陥っている上場企業が苦し紛れに行った増資や新株予約権発行、DES(債務株式交換)などで、ファイナンシャル・アドバイザーを繰り返し務めている。

これらのファイナンスにはいずれも特定の金融コンサルタントと海外ファンドのみが参加。開示資料には「(ファンドは引き受けた株式を)比較的短期間で売却」と記されているから、ビッグヒットは上場企業を食い散らかす「資本のハイエナ」の間で中核的役割を果たしているのだろう。

   

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