読者の声

2012年9月号 連載

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FACTAの「オリンパス物語」の始まりは昨年8月号であるが、ほぼその1年前、「イワケン」というオリンパスの内視鏡販売代理店が姿を消した。「イワケン」は顧客の評判も良く優良な会社であっただけに、この突然の消滅に驚いた人も多かった。

この件について、オリンパスからの説明は一切なく、担当の営業マンも「見ザル、言わザル」の状態であった。私たちは、その1年後に本誌によって「イワケン」がなぜリストラされたかの真相を知った。

日本は苦悩している。オリンパスに限らず企業も機能不全に怖れおののいている。しかし、その機能不全が自主的に開示されることは滅多にない。時々調査報道によって、問題の本質が明らかにされる。その時初めて視野狭窄の自分に気づく。

多分、日本が生き残るとすれば、上っ面の官製改革案によるのではない。危機の本質を本能的に感じ取った、草の根の気づきによってであろう。気づきは、根っこの炙(あぶ)り出しによって誘発される。FACTAの役割はますます重要となる。

医療経営コンサルタント 中村十念

   

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