小沢と「蜜月」ワールドメイトの資金力

2012年5月号 POLITICS

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深見東州教祖

民主党の小沢一郎元代表と新興宗教団体の関係が注目されている。発端は1月3日と10日に2週連続放送されたBS11の「サクセス登龍門」という番組に小沢氏がゲストで出演したこと。ホスト役は半田晴久氏という御仁だが、半田氏には深見東州という別名があり、永田町では名の知られた人物である。というのも深見氏は新興宗教団体「ワールドメイト」の教祖であり、同教団は2010年12月に小沢氏の政治団体のパーティー券を購入するなど、小沢氏の新たなスポンサーと噂されているのだ。番組では、深見氏の質問に小沢氏が終始ニコニコ顔で応じていたのが印象的だった。

同教団のホームページによると、深見氏は「現代の弘法大師」「21世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも言われる「純粋で優しく、万能で天才的な方」だそうだ。同教団は「天照皇大御神をはじめ、八百萬の神々を崇敬する神道系宗教団体」。総本部は静岡県伊豆の国市で、11年7月現在の会員数は約7万2千人。日本全国に183カ所の支部があり、米国、英国など世界にも10カ所の支部を持つという。

インターネットなどによると、同教団は神社としての宗教活動のほか、全国の神社参拝、エンターテインメント的な要素が強い講演会、先祖供養や救霊、コンサートなどの芸術活動、チャリティーなどの慈善事業などを行っているという。

一方、週刊誌などでは、深見氏にセクハラされたという元女性会員による訴訟が起きたり、別の元会員からは財産を奪われたと損害賠償請求をされたり、逆に、宗教法人の認証を与えない監督官庁の静岡県を訴えるなどたびたび取り上げられてきた。

同教団が小沢氏の政治団体「小沢一郎政経研究会」の政治資金パーティー券を購入したのは10年12月1日。金額は100万円で、収支報告書には同教団の代表者として半田氏の名前が記載されている。

小沢氏と深見氏の出会いは数年前で、2人の関係が永田町で初めて話題になったのは11年1月のことだった。小沢氏が信心深いという話はついぞ聞かない。その小沢氏が、10年末から突然、神社仏閣参りをした。「親しくしている深見氏に勧められたからではないか」と、永田町では囁かれた。

10年末から11年正月にかけて小沢氏は川崎大師や熊野本宮大社などを参拝。1月5日には東京・台東区の下谷神社、文京区の湯島天神をはしごした。川崎大師は厄除けで有名だが、小沢氏は密教儀式の護摩に参加したという。小沢氏が神社仏閣を参拝するのは珍しく、「自分の裁判のことを神頼みしたのではないか」と揶揄する向きもあった。

なお同教団は小沢氏のほか、国民新党の政治資金団体にも3千万円献金している。国民新党前代表の亀井静香氏が深見氏と親しいという。長引く不況の中、年間2千万円を超える大口献金企業・団体は前年の17から7に激減したが、同教団は1位の日本自動車工業会、2位のトヨタ自動車、3位の日本電機工業会、4位の日本鉄鋼連盟といった日本を代表する企業や団体に伍し、5位にランクインしている。

本誌の取材に対してワールドメイトは「小沢先生から生きた政治を学びたいと思い、(パーティーに)勉強しに行かせていただいたもので、選挙応援等は行っていない」と答えている。

   

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