2012年4月号 連載
高校教師をしている。地味な仕事ではあるが、あどけなかった少年たちが成長していく過程に関われるのは教師冥利に尽きる。
FACTAがジャーナリズムの世界に入学してきて6年、いまや各界から注目されるクオリティー・マガジンに成長した。発刊の辞に示された決意と使命感に惹かれて読んできたが、「己の鑑識眼は間違っていなかった」とほくそ笑んでいる。まさに読者冥利に尽きる。
いま注目しているのは巻末に掲載されている震災関連のコラム。突然の不条理に翻弄される人々への共感がベースにあり、読み手をして「自分にも何か出来ることはないか」と自問させてしまう。
福岡県の社会科教員の研修旅行を企画する任にある。例年、行き先について紛糾する。しかし、綿密な取材に裏打ちされた記事のもつ説得力は凄い。FACTAを一同に紹介した今年は、満場一致で南三陸町に決まった。コラムには、東北と九州という距離的な隔たりを超えて、人の心を一つにする力が宿っていた。
福岡県立柏陵高校教諭 岡田健一