ホンダを直撃したインドの「合弁解消リスク」

2011年2月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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伊東孝紳ホンダ社長

Jiji Press

新興国での合弁事業リスクがまた一つ顕在化した。ホンダは昨年12月、インド財閥「ヒーローグループ」との二輪合弁事業を解消し、全額出資子会社によるインド二輪事業の立て直しに踏み切った。保有する合弁会社ヒーローホンダ全株式26%の売却額は800億円超に上ったが、すでにヒーローホンダはインドで二輪最大手として圧倒的なシェアを誇っており、ホンダのインド二輪展開を阻むライバルになる見通しだ。

ホンダとヒーローグループが26%ずつを出資し、ヒーローホンダを設立したのは84年。20年以上が経ち、インド二輪車市場での同社シェアは首位。09年度は48%を占めた。ところが、インド国内販売に力を入れたいホンダと、インド国外への輸出を進めたいヒーローグループの間で意見が対立。双方の溝が深まり、合弁解消に至った。

大手銀行幹部によると今回、ホンダが直面したのは「典型的な合弁リスク」であり、米ゼロックスの日本戦略の失敗に類似するという。米ゼロックスは62年、新興国ニッポンに進出するため、英子会社を通じて富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)と合弁会社「富士ゼロックス」を設立した。しかし01年、業績が悪化した米ゼロックスは富士ゼロックスの持ち株を売却。その富士ゼロックスは今や画像処理の優良企業として、アジア豪州市場で米ゼロックスを駆逐する存在になっている。「米社が合弁開始と撤退のタイミングを誤った典型例」(先の大手銀幹部)といえそうだ。

ホンダにとどまらず、日本の大手自動車、電機、部品メーカーは中国、アジア諸国進出で合弁事業を余儀なくされてきたが、「今後、合弁を解消した中国企業が、手ごわいライバルとなって登場するケースが多発するだろう」(同幹部)。

   

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