2010年1月号 連載 [LOCAL EYE]
連合京都と京都経済4団体が山田啓二京都府知事に出馬要請を行った。知事は現在2期目。自・公・民の相乗りで共産党候補を破ってきた。任期は来年4月だが、出馬表明を控えている。その理由は、民主党の動きが読めないためで、早々と出馬宣言して各党に推薦要請を行えば「相乗り批判」をされかねないからだ。
11月10日、京都市内で開かれた稲盛財団の「京都賞」に民主党の小沢一郎幹事長が駆けつけた。地元政界筋では、この日、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏から小沢氏に「単独候補擁立の要請があった」と囁かれている。山田知事を推す京都商工会議所の立石義雄会頭と稲盛氏は仲が悪く、「3党相乗り」を推進する立石氏に反発する動きとの見方もある。
一方、地元選出の谷垣禎一自民党総裁は相乗りを容認し、現職を推す構えだ。谷垣総裁の弱気の原因は、民主党の支持率の高さだけではない。府知事選と同じ選挙区となる参議院京都選挙区で前回、公明党の推薦を受けた自民党は民主党に大敗を喫した。もし、民主党単独候補が立てば自・公推薦の現職の再選は難しくなる。山田知事としては民主党を取り込み、3党相乗りにしたいのだ。
が、「相乗り批判」は苛烈さを増している。総選挙後に行われた大阪府堺市の市長選では3党相乗りで3選をめざした現職が新人候補に大差で敗れた。その後に行われた神戸市長選でも「事実上の3党相乗り」を批判された現職市長が無名の新人候補に詰め寄られた。京都府知事選での相乗り批判が高まれば、地元に確たる地盤を持つ共産党候補が漁夫の利を得る可能性も出てくる。
それゆえ山田知事の推薦を決めた連合京都も「党が決めることだから」と歯切れが悪い。地元選出の民主党の前原誠司国土交通大臣や福山哲郎外務副大臣は、もともと地元に「ガチンコ勝負」を求めてきた。
「相乗り禁止」で自民党を蹴散らしたい小沢幹事長が、谷垣総裁、伊吹文明元幹事長のお膝元の京都で例外を認めるとは考えにくい。地元政界筋では「民主党は若手弁護士の単独擁立に動き出している」との話も。山田知事の前途は険しい。