「読む事典」をめざした労作 『皇室事典』の読み応え

2009年7月号 DEEP [ディープ・インサイド]

  • はてなブックマークに追加

定価5700円の座右の書
(皇室事典編集委員会編、角川学芸出版)

天皇在位20年、結婚50年の今年、神代の昔から今日を物語る実に楽しい『皇室事典』(皇室事典編集委員会編、角川学芸出版)が刊行された。代表編者の高橋紘・静岡福祉大学教授は「読む事典を目標にした」と言う。五十音引きの辞典と異なり、10章130のテーマごとに、皇室がいかに我が国の歴史・文化・社会に広く深くかかわってきたかを解き明かす。

特筆すべきは、類書があまり触れようとしなかった占領と皇室、靖国問題、皇室外交、皇位継承、政教分離の問題を掘り下げ、皇室に関する世論調査のデータなども掲載していること。昭和から平成に至る即位礼、大嘗祭など代替わりの諸儀式や宮中祭祀の解説もわかりやすく、皇室の人生儀礼や万世一系の由来、帝王教育、皇室と音楽、天皇皇族の著作といったコーナーもある。編纂に3年を要した労作。書店で手にとってご覧あれ。

   

  • はてなブックマークに追加