新型インフル「BCP」策定支援に動き出した国交省

2009年2月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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昨年12月、国土交通省のシンクタンク、国土交通政策研究所が、新型インフルエンザ発生時における感染拡大を防ぐため、実際の地下鉄車両を使ったシミュレーションを行った。一定の距離をあけながらの乗降にかかる時間、乗車可能人数などを測定。その物々しい光景が報じられ反響を呼んだ。

国交政策研は昨秋から国立感染症研究所や警察政策研究センターと共同研究を開始。新型インフルの飛沫感染を防ぐため通勤輸送を分散しても、現状の3割程度しか乗客を輸送できないとの試算を公表していた。しかし、現状では鉄道会社が一方的に乗車制限を行うことは法的に認められていない。「あの車両実験は交通遮断や乗車制限を前提とした予行演習ではありません。実験に基づき今後精査するデータをフィードバックし、企業などのBCP(事業継続計画)策定を促し、都市経済の混乱を最小化したいのです」と国交政策研の西川健所長は語る。

BCPとは、Business Continuity Planの略。大地震や火災などの緊急時に、被害を最小化しながらいかに事業を継続させるかを定めた危機管理計画のことである。

米国では01年の同時多発テロ以降、多くの企業が導入しているが、日本の大企業で策定しているのは2割と少ない。ことに、新型インフル対策として企業がテレワーク(在宅勤務)や時差通勤を検討しようにも、政府の企業向けガイドラインの被害想定だけでは実効性のある計画が立てにくい状況だ。都市機能維持のためにBCP策定等の対策を促進しようとする国交政策研の取り組みは注目に値する。

   

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