2008年10月号 連載 [メディアの急所]
総合雑誌の休刊(事実上の廃刊)が相次いでいる。朝日新聞の月刊「論座」が9月1日発売の10月号で休刊。講談社の「月刊現代」も12月1日発売の2009年1月号で休刊する。関係者によれば、読売新聞の「読売ウイークリー」も販売低迷のため廃刊が固まった模様。
毎年10億円前後の赤字を垂れ流し、社内では3月末に廃刊が検討されたが、ドン・渡邉恒雄会長の意向で「もう一年様子を見る」ことになった。しかし、春以降の広告収入の激減が響き、継続が困難になった。
週刊誌に叩かれることの多い渡邉会長は、読売グループ内に週刊誌を擁していることに一種の抑止力を期待していたようだが、背に腹は代えられなくなった。「論座」「月刊現代」の廃刊が背中を押したとの見方もある。出版界では読売が中央公論社買収後も刊行してきた「中央公論」(月刊)の廃刊も噂されているが、月刊誌は週刊誌に比べて年間赤字額が知れているため、何とか生き残れそうだ。
ただし、来年以降も現状の誌面構成が維持されるとは限らない。「読売本体から編集部員を送り込み、本来の保守路線を強めるのではないか」と囁かれている。
読売ウイークリーの次はどこか。朝日、読売と来て「次は毎日新聞の『サンデー毎日』あたりが危ない」と出版関係者は読む。同誌は10月1日付で初の女性編集長(山田道子氏)を起用し、起死回生を狙う。だが、かつて朝日の「朝日ジャーナル」が女性編集長(下村満子氏)の代で廃刊になった例もある。
男も女も買わなくなっているのが総合誌の現実であり、女性編集長の抜擢で浮上する地合いにはない。「朝日ジャーナル」と同じ運命にならないことを祈るばかりだ。