2007年10月号 連載 [LOCAL EYE]
神戸を主会場に9月15日から17日まで第9回世界華商大会が開かれ、世界各国・地域から中国系の有力経済人ら3千人余りが参加した。背後で巨額のスポンサー料が動いた同大会を仕切ったのは、中国・海南島のリゾート開発で利益を上げ、日本に進出してきた中国人、蒋暁松(しようぎようしよう)氏だ。上海出身で江沢民前主席のグループに連なっていると言われ、日本では中国との観光交流に熱心な自民党の二階俊博総務会長と特に親しい。
そもそも今回の華商大会は、神戸市が地元の華僑とともに震災復興を世界にアピールしようと計画したものだった。ところが、神戸とは縁もゆかりもない蒋氏が政治力で実権を握ると、大会組織委員会から地元関係者を排除するとともに、勝手に「中華年2007」のイベントと位置づけ、北京政府に媚を売るような大会に作り変えてしまった。
その象徴が1社につき1億5千万円という巨額の公式スポンサー料だ。中国では北京五輪、上海万博というビッグイベントが控えているだけに、中国市場への参入を有利に進めようとの思惑からか、日本では全日空、トヨタ、松下電器の3社が応じた。いわば北京の威光を利用しての寄付集めだった。
ただし、これらのカネが何に使われたかは不透明なままだ。大会組織委は公式スポンサー以外にも「リージョナルスポンサー」と称して1社1千万~5千万円を徴収している。それにもかかわらず、開催地の兵庫県と神戸市に「大会開催は神戸の利益になるのだから」という理由で計1億円の財政負担をさせている。
先ごろ、和歌山県の年金保養施設「グリーンピア南紀」跡地の再開発をめぐって中国系企業の「香港ボアオ」が地元との契約を履行していないとして問題になったが、蒋氏は同社のオーナーであり、再開発を斡旋したのは二階氏だった。安倍晋三首相は巻き込まれるのを警戒して、華商大会への出席を渋ったと言われている。税金を投入した華商大会の経理は公開されなければならない。使途不明金が出てくるようだと、政商的な蒋氏への反発が高まるだろう。