10代「ギャング化」の英国 ついに防護機能の学校制服

2007年10月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]

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ティーンエージャーの殺傷事件が後を絶たない英国で、新興カジュアル衣料メーカーが防護機能を持つ衣料を売り出して注目を集めている。このメーカーはロンドンの東、エセックス州に本拠を置く「ブレードランナー」。オプションで学校制服に防護素材「ケブラー」を裏地に施すサービスを始めて大当たり。毎週数百枚単位で注文が殺到しているという。

英国では若者のギャング犯罪が深刻化している。強盗犯罪もさることながら、「目つきが悪い」程度の理由で集団にナイフで切りかかられて死亡する例が急増。8月に発表された統計によると、1日平均175人がナイフ犯罪に巻き込まれており、発生件数は2年前の2倍以上となっている。同月には11歳の少年がサッカーの練習から帰宅途中、銃殺される事件まで起きた。犯人もティーンエージャーとみられている。

ブレードランナー社が使うケブラーは1970年代に米デュポン社が商品化した素材で、鋼鉄の5倍の強度があり、軍隊や警察の防弾チョッキに使用されている。軽量で柔軟性があり、手触りや着心地はやや粗めの綿素材といったところ。注文は英国内にとどまらず、米国、豪州、南アフリカからも引き合いがあるという。日本の制服メーカーとも交渉中だそうだ。

   

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