所詮「ババ抜きゲーム」のIXI粉飾決算事件

2007年4月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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経営破綻したITベンチャー、IXI(大阪、東証2部)の粉飾決算事件は、好決算に見せかけるため、架空取引に手を染め売上高の水増しを続けてきたというもの。同社は、最終的にはインターネット総研(=IRI、東証マザーズ)の連結子会社だったが、それ以前は何度も親会社が交代していた。そもそもIXIは89年7月の設立後、97年にイチネン(大阪、東証1部)に買収された。そして、02年3月に旧ナスダック・ジャパンに上場、その後イチネンはIXI株を手放し、上場の年の9月にはシーエーシー(東京、東証1部)が株式公開買い付けで子会社化する。そしてシーエーシーに代わってIRIの連結子会社となるのだが、その買収はIXIの経営破綻のわずか1年5カ月前の05年8月のこと。買収直後、IRIは同社の子会社化で、連結業績を大幅に拡大させていた。今となってはIRIのワキの甘さを指摘する声も多い。しかし、元親会社だったイチネン、シーエーシーも、本業とは別にM&A(企業の合併・買収)に積極的なことで知られる企業。しかも、IXIの架空取引行為が05年以前から行われていたということは、結局、この事件はIXIのM&Aをめぐって、これら親会社たちの間で繰り広げられた「ババ抜きゲーム」だったのだ。

   

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