三洋電機に「新たな危機」ゴールドマン・サックスが株式売却?

2007年4月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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証券取引等監視委員会(SESC)は三洋電機に対し、01年3月期から4年間の単体決算について子会社株式の評価損計上が甘いとして、決算訂正を内々に求めた。「01年と02年は合計で1千億から2千億円の損失計上が必要」(SESC関係者)という。

SESCの求めるような会計処理を粛々と実行する三洋には「恭順の意を示さなければ、日興コーディアル証券の二の舞いになる」との危機感がある。一方で、株主対応という「新たな危機」にも備えなければならない。

06年3月、三洋は米ゴールドマン・サックス、大和証券SMBC、三井住友銀行に対して合計3千億円の第三者割当増資を実施。この資金を元手に子会社などが抱えていた損失処理を実施した。要するに01年や02年に先送りしていた損失を、3社が拠出した資金で処理したというわけだ。

「デューディリジェンス(事前調査)をする時間もたいして与えられずに巨額資金を投入させられた」。増資に応じた3社のうち、とりわけゴールドマンにはそんな思いが強い。にもかかわらず応じたのは、それまでの決算が適正な会計処理によるものという前提があったからで、これが覆るとなれば「三洋側に契約違反を主張できる」とゴールドマン関係者は指摘する。

3社は増資をひとまず優先株の形で引き受けたが、今年3月14日からはこれを普通株に転換、売却することができる。三洋や他の大株主の同意を得たうえでなければ売却はできないという縛りはあるものの、ゴールドマンにしてみれば三洋側の瑕疵を盾に、上昇する気配すらない株式は売却するほうが得策と判断する可能性も。この一年「音無しの構え」に徹していた「ハゲタカ」がいよいよ本領を発揮しそうだ。

   

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