6カ国協議の対朝“弱腰”ヒル米首席代表が槍玉

2007年4月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]

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北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米国首席代表、クリストファー・ヒル国務次官補の“弱腰”に、ワシントンではネオコンのみならず国防総省などから強い批判の声があがっている。特に02年10月の米朝協議で北が存在を認めた高濃縮ウラン(HEU)開発計画について「米国は完全な情報を把握していない」と述べたことが大きい。

プルトニウムと違って高濃縮ウランの開発は、偵察衛星など外部から捕捉できず放置できないというのが、これまでのブッシュ政権の対朝強硬策の最大の理由だった。ヒル次官補の発言は、そこに目をつぶり、最終的には北朝鮮の核保有を黙認することを示唆したのではないか、と受けとめられている。

ヒル次官補はまた、軽水炉も「提供の用意がある」と述べた。軽水炉提供は05年9月の共同声明で「適当な時期に議論する」とされたが、米国は「核放棄後の軽水炉提供」、北朝鮮は「軽水炉提供後に核放棄」と見解が分かれ、ヒル次官補がメンツをつぶした経緯がある。それでも「提供の用意」を明言したのは、米国が折れる可能性を示したともとれ、反発を招いた。

6カ国協議の2月合意の大枠はベルリンの米朝協議で決められたが、中身は副大統領も国防長官も知らされず、ライス国務長官とブッシュ大統領の2人で譲歩を決めたという。ライス長官は就任以来、外交でさしたる成果があがらず、焦ったがゆえの“独断専行”とされ、ヒル批判は仮面をかぶったライス批判でもあるという。

   

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