2007年3月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
内閣支持率が低下する中、安倍首相側近の井上義行首相秘書官と世耕弘成首相補佐官の「冷戦」が続いている。首相に影のように付き添う井上氏と、広報戦略を担う世耕氏の連携は本来密接であるべき。ところが、世耕氏は枢要な会議に出られなかったうえ、本間正明前政府税調会長、佐田玄一郎前行革担当相の辞任と、失点が続いた年末あたりから、政権浮揚策をめぐって意見が食い違い、両者のミゾが深まった。
本来なら国会議員でもある世耕氏が首相と直接、広報戦略について話し合い、それを井上氏がサポートするのがまともな姿。ところが、世耕氏より井上氏の方が首相に近く、重用されている。このため井上氏が独自にマスコミに発信する機会が多く、世耕氏の出番を奪う形になっている。世耕氏は5月に予定されている安倍初訪米の露払いのために単身訪米。ホワイトハウスの広報担当者と首脳会談の「演出」の方針を擦り合わせるという。井上氏に対抗する手柄を挙げるのに懸命だ。