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大阪ごみ収集の「超難関試験」を突破した「橋下支援団体」会長

2013年9月号 [ディープ・インサイド]

橋下徹大阪市長が振りかざす「既得権益の打破」は、こんなところに繋がっていたのか。

橋下市政は「規制緩和」「既得権益の打破」を強調して、市直営の家庭ごみ収集を民間委託化しようとしている。それに先立ち、事業系の一般廃棄物(事業ごみ)の収集運搬業者についても約30年ぶりに新規参入を認めると発表していた。

大阪市では現在300社を超える業者が許可業者として登録している。これら既存業者は市のごみ収集体制が整わなかった1970年代から市のごみ収集を補完してきた中小事業者だ。市はその恩義と、大半が被差別部落関係者であることなどから彼らを庇護し、長年にわたり新規参入の門戸を閉ざしてきた。ところが橋下市長の登場で風向きは大きく変わり、「既得権打破」の目玉として「新規参入を認める」と市は方向転換した。もちろん既存業者らは黙っていない。「資金力のある業者が参入して価格競争が激化し倒産する業者が増える」などと猛烈に反発するのを尻目に、橋下市政は新規参入は10月からと決め、能力試験、申請、審査と作業を進めた。そのプロセスで、とんでもない疑惑がもちあがった。

新規参入は申請の前提となる能力試験でふるいにかけられる。今回の試験問題は法律だけでなく、大阪市のごみ収集のルールを細かく問う厳しいもので、308人が受験して合格はわずか2人という超難関だった。これで事実上、審査対象が2社に絞られてしまった。なんとその1社が橋下維新の財界応援団幹部の関連企業だったのだ。

問題の会社「関西再資源ネットワーク(本社・堺市)」は、中小企業社長らによる維新の支援団体「経済人・大阪維新の会」の会長、更家悠介氏が経営するサラヤ株式会社の関連企業だ。

業界筋には「この会社は堺市の一般廃棄物の収運許可を持っているが大した実績はない。細かすぎる能力試験をクリアした裏には解答の情報漏れがあったようだ。当局も関心を持っている」などと、口さがない噂が飛び交う。これには財界人も「維新の低迷で経済人・大阪維新の会はバラバラだ。更家社長も距離を置き出したと聞いていたが、こんなことでは痛くもない腹を探られても仕方がない」と呆れ顔だ。

大阪市直営の家庭ごみの収集が民間委託されることになれば、新規許可業者に優先的に委託するとも言われている。背景には民営化で行き場がなくなる現業職員の受け皿探しがあるという見方もある。橋下市政の「既得権打破」には「利権分配」がセットでぶら下がっていたのか。疑問の声が広がっている。