2007年4月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
菅義偉総務相が絵に描いたような「茶番劇」を演じた。3月2日、菅氏は日本郵政公社の生田正治総裁が退任し、後任に郵政民営化準備会社である日本郵政の西川善文社長を兼務で起用すると発表。菅氏は「生田氏から身を引かせていただきたいという趣旨の話があった」と説明した。
ところが、この内容に驚いた生田氏がすぐさま反撃会見。「僕からは辞意は表明していません」と菅発言を否定したことから、菅氏の「嘘」があっさりバレる羽目に。郵政公社幹部によると、記者会見の直前、菅氏は生田氏に交代理由を「総裁の自発的な辞任」とし、両者の発言を合わせるよう持ちかけたという。
菅氏はなぜ会見で嘘をつかねばならなかったのか。この数日前、NHK改革に絡んで総務省の南俊行放送政策課長を更迭。自民党から「やりすぎだ」との批判を受けていた。郵政公社総裁人事でも、自民党幹部には「生田総裁の自発的な辞任」で根回しを終えていたため、後戻りできない状況だったのだ。相次ぐ更迭と嘘会見。主要閣僚としての資質が問われそうだ。