連載コラム:「某月風紋」

2026年10月号 連載 [コラム:「某月風紋」]

ふるさと納税という名の節税策がすっかり定着してしまった。25年度は全国の地方自治体が過去最高となる1兆3314億円の寄付を集めた。自治体が魅力的な返礼品を用意して収入を増やすのは悪いことではないし、一見すると地場産業の振興にもつながる。

だが、返礼品需要は補助金にぶら下がる日本企業の国依存体質を助長している。この制度が縮小されたりなくなったりしたら、とたんに行き詰まる。実際、法令に違反した岡山県総社市や長崎県雲仙市など6団体は現在、国から指定を取り消されており寄付を集められない。地場産業は打撃を受けている。

返礼品は寄付額の30%、経費全体では50%以内に抑えることが義務付けられているが、25年度は寄付額合計の48%にあたる6382億円が自治体から“流出”した。うち2433億円(19%)は楽天グループをはじめとするポータルサイトの運営事業者に流れている。

国は今年10月から、経費率を段階的に40%まで引き下げるよう自治体に求めている。サイトの運営事業者は反発しているが、そもそも寄付する個人の懐は少しも痛まない。むしろわずか2千円の負担で返礼品が選び放題なのが問題なのだ。

これは翌年の住民税や所得税から寄付額が丸々控除されることによる。高所得者ほどその恩恵は大きい。おかげで全体の3割にあたる545自治体では寄付額から経費と税の控除額を引いた収支がマイナスになっている。134自治体では赤字額が10億円を超える。

赤字になっているのは東京23区や大都市に限らない。石川県内灘町や奈良県三郷町など人口3万人に満たない18市町村でも赤字額が5千万円を超えている。

ここまで浸透したものは、簡単にはやめられないかもしれない。せめて税の控除率を下げるか控除額に上限を設け、歯止めをかけてほしい。

(ガルテナー)

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