スクープ/ベクトル橋本会長が非常手段/借金漬け創業者・西江社長の自宅に「代物弁済予約」

2026年9月号 BUSINESS

ベクトルの西江肇司社長

PR大手「ベクトル」で奇妙なことが起きている。ネット広告市場の拡大で業績はきわめて好調な一方、創業者で社長CEOの西江肇司氏(57)の自宅に債権者が「代物弁済予約」を登記する事態となっているのだ。

ベクトルでは4月にサプリメントなどの直販を手がける子会社「ビタブリッドジャパン」がグロース市場に新規上場し、「PR TIMES」(プライム市場)に続く上場子会社が誕生した。今年3~5月期の売上高は第1四半期として過去最高の168億円となり、営業利益は31億円で同様に最高を更新した。トップの西江氏は天才経営者というほかないが、個人的には投資の失敗で手元不如意に陥っている。本誌では昨年6月号などでその窮状を報じてきたが、このほど自宅の登記簿に動きがあった。

西江氏の自宅は渋谷区内の一等地にあり、敷地366㎡、建物は3階建で延床面積427㎡の豪邸。2014年に土地を取得し、翌年家屋を建てた。そこに今年6月30日付で「所有権移転請求権仮登記」が行われた。権利者は「フリーウェイ」(品川区)で、原因は「代物弁済予約」とある。フリーウェイは現在ベクトルの代表取締役会長をつとめる橋本浩氏(74)一族の資産管理会社である。

フリーウェイは同じ日に根抵当権も設定した。債務者は西江氏ならびに「メイクワン」(渋谷区)という個人会社で、極度額は10億5000万円。債権の範囲は「金銭消費貸借取引」とある。

つまり西江氏側はフリーウェイから自宅を担保にまとまった額の借金をした。フリーウェイははなから債務不履行を見据えて、競売手続きを経ずとも確実に所有権をとるために代物弁済予約の契約も結んだというわけだ。あわせて「ユニ・プロス」(港区)という不動産会社が設定していた合計8億2千万円の抵当権と抵当権仮登記が抹消されており、フリーウェイの貸したカネはユニ社への返済に充てられたとみられる。

フリーウェイはこれに先立つ6月8日、西江氏の保有するベクトル株のうち73万株に担保設定していた。同日の株価で計算すると約10億円の価値がある。担保の掛け目を一般的な6割と推定すると西江氏が借りたのは6億円程度だろうか。いずれにしても西江氏は橋本氏側に立て続けに無心し、橋本氏が呆れつつ応じている姿が目に浮かぶ。

フリーウェイは昨年7月以降、西江氏の借金の肩代わりを買って出て、見返りに保有するベクトル株の大部分を担保にとった。12月にはその担保株の過半を買いあげ、西江氏を抜いて筆頭株主(27.94%)となり、今年3月に橋本氏が会長として経営陣に加わった。橋本氏は「キョウデン」を創業しプリント基板大手に育てたほか、「長崎屋」など不振企業再建の実績があり、不動産投資家でもある。

いずれにせよベクトルの取締役会では社長が会長から多額の借金をして自宅を取られそうになっているという前代未聞の状況が生まれている。ベクトルにガバナンス上、どう整理しているのか問うたところ「必要な事項は常に取締役会において適切に共有されている。また法令、社内規程などの手続きに則り必要な確認および対応を行っている」と回答した。西江氏の借金は他にないのかについては「個人の資産、負債および取引関係にかかわる事項のため差し控える」とのことだった。

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