読者の声

2026年3月号 連載

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認知症に関する記事が目立つようになって久しい。自分には関係ないことと思っていたのだがそうは旨くいかない。ここ数年の間に、前の晩何を食べたか忘れたり、数時間前に習字で稽古したわずか一文字を思い出せなくなったりすることが増してきた。

私は今年八十三歳、妻が「年を取ると物忘れが酷くなるのは仕方がない、認知症とは別よ」と言うがいささか気になる。ところで私には二十数年続けていることがある。一つは自分と妻のための夕食を作ること。献立を考え、財布と相談して食材を買い自分の好みに調理する。これだけのことで多少頭を使い、手指の運動をしたことになる。もう一つは日記をつけること。散歩中に珍しい鳥を見たとか、夕食に何を食べたとか、愚にもつかぬことを備忘録のつもりで書いてきた。

認知症や加齢による物忘れは、習慣化した規則正しい生活と適度の微細運動でも進行を遅らせることができるとか。もしそうなら私は自発的に二十数年認知症予防機能訓練をしてきたことになる。無駄なことをしてきたわけではなかったと思いたい。毎月雑誌が届くのを楽しみにしています。

東京都元教員 本田明

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