鳥取の有力メーカーで、紆余曲折の末、曰くつきの人物がオーナーに。
2026年3月号 BUSINESS

LIMNOのホームページ
かつて「三洋電機」の子会社だった、教育用情報端末などを製造する鳥取の名門メーカーで紆余曲折の末、曰くつきの人物が経営トップに就き、取引先の警戒が高まっている。
そのメーカーとは「LIMNO」(鳥取市)。売上167億円、従業員252名の有力企業だ。2023年1月「三洋テクノソリューションズ鳥取」から社名を変更した。LIMNOとは限界(Limit)を否定(No)という意味らしい。
1968年に「鳥取夏原工業」として設立され、「鳥取三洋電機」の協力会社としてガス用コックを製造していた。三洋電機は66年鳥取に進出し、下請け企業もこぞって移転し企業城下町を形成した。
鳥取夏原はその後、鳥取三洋の傘下に入り、96年「テガ三洋工業」という社名になった。鳥取三洋からプリント基板などの事業移管をうけ、規模を拡大したが、08年に三洋グループの再編で鳥取三洋が「三洋電機コンシューマエレクトロニクス(CE)」となり、さらに翌年母体の三洋電機が経営悪化からパナソニックに買収された。
11年の完全子会社化を経て三洋グループが事実上解体される過程で、CEは三洋電機に吸収されて「CEビジネスユニット」という一部門となり、テガ三洋は同ユニットの事業を譲り受けて前述の三洋テクノソリューションズ鳥取に社名が変わった。そして直後の15年、投資ファンドの「ジェイ・ウィル・パートナーズ」に売られた。
早くも翌年には「ジーニアアンドアーレイ」という都内のバイオやエレクトロニクスの研究開発型ファブレスメーカーと、山陰合同銀行系の「ごうぎんキャピタル」が共同出資する会社に転売され、ジーニア社社長の畑宏芳氏が代表取締役会長に就いてきたが、風向きが変わったのが24年6月。オーナーチェンジがあり、小野久人氏なる人物が代表に就任し、木村裕一社長と長谷泰彦副社長が解任された(長谷氏は1年後に復帰)。
決算にも変調が生じる。24年9月期決算で本社の土地を売却(リースバック)して特別利益を計上した一方、26億円もの特別損失を計上し、3億円強の最終赤字に陥った。
特損は畑氏が代表で経営再建中のジェネリック医薬品メーカー「KIYAN PHARMA」(静岡県袋井市)への資金支援に係るものとされる。
現在のオーナーである小野氏はカリフォルニア大学バークレー校法学部を卒業後、リクルートや野村不動産、カーギルグループなど大手企業を渡り歩いてきたエリートだが、傘下の不動産クラウドファンディング「ヤマワケ」の騒動が記憶に新しい「REVOLUTION」が、有名ハコ企業「燦キャピタルマネージメント」(現・北浜キャピタルパートナーズ)の発行した新株予約権を譲渡する先として名前がリリースされたことがある。
また、小野氏は埼玉の建設・不動産会社を買収して23年から24年まで代表に就いていたが、同社が25年6月破産した経緯についても取引先は気になるようだ。東京・六本木の自宅マンションの登記を確認するとノンバンクが多額の抵当権を設定している。本誌はLIMNOに小野氏による買収の経緯などについて質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。