リーダーに聞く!/ローソン社長 竹増貞信氏/「盛りすぎではない!」 日販70万円へトライ

2026年3月号 BUSINESS [リーダーに聞く!]
by 竹増 貞信 (ローソン社長)

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1969年生まれ。大阪大経済学部卒。三菱商事入社。畜産部、広報部、当時の小林健社長(現日本商工会議所会頭)の業務秘書を経て、2014年5月にローソン副社長。16年6月から現職。

――昨年上期に日販が初めて60万円を超えました。

竹増 2020年4月に感染が拡大した新型コロナウイルスが大きな契機になりました。その前の2月に、深刻な人手不足やコスト高騰に苦しむ加盟店を安定させるため、加盟店の利益を最優先する方針に転換しました。本部の売上高や純利益は激減しましたが、加盟店の利益を守りました。20年9月にコロナで社会や顧客の価値観が変わり、「大変革実行委員会」を立ち上げました。加盟店にご協力いただき、21年に「まちかど厨房」を拡大し、22年に無印良品を導入しました。巣ごもりに対応するため、冷凍食品やお惣菜、デザートの新製品を増やしました。こうした施策が奏功し、23年から日販が上がっていきました。顧客をよく見て、変化に対してチャレンジする意識が根付いたのが日販の上昇につながったと思います。

――かつてはセブン‐イレブンを追随していましたね。

竹増 コロナの影響で、より顧客に近い目線が求められ、モノマネをする必要がなくなり、攻めの商品開発に打って出ました。例えば、人手不足なのに、店内で調理する「まちかど厨房」は、従来の効率化を重視するコンビニ業界の発想では生まれないサービスです。外食を控えて、自宅で食事をする機会が増えたため、導入店舗を一気に増やし、今では約1万店まで拡大しています。好評な「盛りすぎチャレンジ」も創業50周年を記念して、50%増量しようと盛り上がり、SNSで拡散し、顧客も楽しんでくれています。社長に就任した当初は、商品開発に口を挟むことが多くありましたが、最近は、最後に責任は私が持つという思いで、何でも頑張ろうと社員に呼びかけています。それぞれが得意な分野で価値を生み出し、我が道を行くというのがわれわれのスタンスです。

――31年2月期までに日販70万円という目標を掲げました。盛りすぎではないですか。

竹増 5年前の中期経営計画で、25年2月期までに純利益500億円という目標を掲げました。当時は純利益が86億円しかなく、アナリストや投資家からは見向きもされませんでしたが、自分の土俵で勝負するようになり、24年2月期に達成できました。日販も21年2月期に48.6万円でしたが、昨年上期に60.3万円となり、5年で10万円以上増えました。変化へのチャレンジを続ければ、チャンスは十分あります。顧客から指名され続ければ、日販は無限に上がります。1店1店の売り上げが上がらないのは、顧客から評価されていないということです。

――24年にKDDIの出資を受け入れましたが、協業は?

竹増 顧客が求めていることを実現するにはテクノロジーが必要になります。われわれの足りないところを人工知能(AI)や通信技術でサポートしてくれてます。「リアルテックコンビニエンス」を推進するため、現在はKDDIから25人の社員が出向して喧々諤々で議論し、省人化のプロジェクトなどを進めています。店舗で品出しをして、従来と違う環境を楽しんでいる社員もいます。

――今夏に大阪府池田市で、「ハッピー・ローソンタウン」の1号店がオープンします。

竹増 少子高齢化が進み、ニュータウンの再活性化が課題になっています。KDDIの技術を組み合わせ、リモートの「よろず相談所」を設置し、災害支援機能を備えた拠点を目指しています。無印良品のリノベーションとも連携し、若い人に戻ってきてもらい、街を元気にしたい。30年までに、全国100カ所で開店したい。

(聞き手/本誌副編集長 黄金崎元)

著者プロフィール
竹増 貞信

竹増 貞信 (たけます・さだのぶ)

ローソン社長

1969年生まれ。大阪大経済学部卒。三菱商事入社。畜産部、広報部、当時の小林健社長(現日本商工会議所会頭)の業務秘書を経て、2014年5月にローソン副社長。16年6月から現職。

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