2024年12月号 連載 [コラム:「某月風紋」]
自民・公明の与党が大きく議席を減らした衆院選と、民主党のハリス副大統領が共和党のトランプ前大統領に敗れた米大統領選。勝敗を分けた理由はいくつかあるだろうが、現政権が物価上昇を抑えられず、国民の生活が苦しくなっていた点は共通する。FRB、日銀とも利上げの開始が遅れてインフレが加速してしまい、国民の不満がたまっていた。
一般的に政治家は景気を減速させる利上げを嫌うため、中央銀行はその意向を忖度しがち。低金利を維持する金融緩和は企業業績や株価にはプラスだが、金持ちと株式投資に縁がない庶民の格差は拡大してしまう。
これまで円安を背景に好調だった日本企業の業績にも陰りが見える。特に中国のウエートが高い企業では下方修正も相次いだ。ホンダは「中国は想定以上に減少のスピードが速い」とし、上方修正した旭化成も「中国は依然として厳しい」。停滞が長引く中国経済を見ていると、1990年代の日本を思い出さずにはいられない。
10月下旬から11月中旬にかけて決算発表した上場企業のなかから、フリージャーナリストを名乗って40社あまりに決算説明会のオンライン視聴をお願いしてみた。多くは証券アナリストや機関投資家を対象とするが、コマツやニデックなど6割弱の企業から認められた。ホンダや楽天グループのように、ホームページ上で誰でも視聴できるようにしているところもある。
半面、ファナックや日本製鉄など3割強からは断られた。住友倉庫の担当者は「(リアルとオンラインの)ハイブリッド型の開催は初めてなので、後日動画を視聴できるようにするかどうかを含め今後検討したい」と話していた。INPEXやヒューリックなど12月決算の企業には、第3四半期の説明会を実施していないところもあった。
IRの一環で個人投資家向けの説明会を開くのもよいが、まずはプロ向けの説明会を広く公開してはどうか。
(ガルテナー)