自動運転で地域に貢献! 夢のレベル4に挑む日産

2024年8月号 INFORMATION

  • はてなブックマークに追加

6月3日、マスコミに公開された日産の自動運転実験車両

過疎化で増える交通弱者、ドライバーの人手不足などで、日本の移動が危機に瀕するなか、バス、タクシーといった公共交通サービスにおける自動運転の活用に期待が集まっている。政府のデジタル行財政改革会議は6月18日、自動運転レベル4における事業化を2025年度までに全都道府県で推進する方針を決めた。

自動運転のレベルは0~5まで6段階に分かれる。レベル4は、最高のレベル5(完全運転自動化)の1つ下(高度運転自動化)で、特定の条件下における完全無人運転を可能とするものだ。昨春の改正道路交通法施行で解禁されたものの、レベル4の市販車はなく、事業者による実用化の事例もほとんどない。

ハンズオフ運転でおなじみの「プロパイロット2・0」を筆頭に、運転支援の先進技術を誇る日産自動車は、2月28日、レベル4によるモビリティ(移動)サービスを27年度に事業化するためのロードマップを公表。6月3日、実験車の走行をマスコミに披露した。

電気自動車「リーフ」をベースにした実験車両には、カメラ14個、レーダー10個、ライダー(LiDAR)6個を搭載。従来の実験車両より性能を高め、歩行者などの行動予測、合流車線変更や交差点進入可否の判断など、より複雑なシーンにおけるスムーズな走行を可能にした。

今回の走行実験では、セーフティドライバーが同乗したが、運転手が不要なレベル4が実用化されれば、移動の概念は大きく変わる。「地域社会が抱える課題解決に貢献し、誰もが自由に移動できる『どこでもドア』をつくりたい」と、土井三浩・日産常務執行役員は意気込む。土井常務執行役員の夢のある言葉は、自動運転モビリティサービスの実用化へ、いち早く取り組んできた自信の表れでもある。

日産は、これまでも規制当局、地方自治体と協議、連携しながら、国内外で活発に自動運転の実証実験を重ねてきた。横浜みなとみらいエリアでは、18年に単一ルート、乗降地4カ所、セーフティドライバー、同乗エンジニア、車外エンジニアという運用体制で実証実験をスタート。19年には乗降地15カ所間の複数ルート、セーフティドライバー、同乗エンジニア、遠隔監視、21年には乗降地23カ所間の複数ルート、セーフティドライバー、遠隔監視と運用体制の実用性を高め、自動運転モビリティサービスの知見を深めてきた。海外では欧州日産が支援し、英国政府が資金提供する自動運転研究プロジェクトが昨年7月に始動。地方や都市間の幹線道路や細い路地における自動運転モビリティの可能性を日産リーフを使い実証実験する。

レベル4による事業化に向けた準備段階となる24年度は、横浜みなとみらい地区でミニバン「セレナ」をベースとした車両の走行実験を開始する。25年度以降は、運行車両を最大20台規模で運用。運行地域も桜木町や関内へと拡大し、安全面を考慮したセーフティドライバー同乗のもと、実証実験を拡大していく。

27年度には、オンデマンド型の乗り合いシャトルバスを想定し、3~4市町村で、数十台規模の有償サービス実現を目指す。「ドライバーレスを目指し、自動運転レベルを段階的に引き上げながら、お客さまの受容性を確認していく」(土井常務執行役員)。夢の「どこでもドア」実現へ、不断の取り組みが続く。

(取材・構成/編集部 和田紀央)

   

  • はてなブックマークに追加