1992年5月22日、毎日新聞が「リクルート　ダイエーの傘下に入る」と特報しました。創業オーナーの中内㓛さんと私は神戸から朝一番の飛行機で記者会見のため、東京に向かう途中、たまたま伊丹空港で細川護煕さん（元首相）と出くわし、「テレビニュースで拝見しました」と言われました。中内さんは「新聞記者がどんな特ダネを抜いてもテレビの速報性には敵わない」と呟きました。

今はどうか。スピードだけならネットが一番。これで事足りるなら、足が遅い雑誌は報道メディアとして存在意義を失ってしまいます。

貴誌が18年の風雪に耐え、成長を続けたのは記事のクオリティでしょう。「じっくり読むに耐える記事」＋「読者の興味を満たす記事」を毎月掲載しています。紙媒体の特性を活かしつつ、最近の流行り言葉で「シンカ」して欲しいと思います。オリンパス事件をスクープした当時、編集部のインタビュー取材を受けました。やって来た女性記者が構えるカメラがオリンパス――。「ブラックジョークか！」と、絶句しちゃいました。

ファンケル相談役　宮島和美