2022年6月号 連載
創刊当時からの読者というよりも同業者として注目せざるを得なかった。20年間テレビの記者を務めた後、今度は広報部長として「まずい情報は出ていないか」とドキドキしながら拝読した。
現在、そうした組織を追及する立場と守る立場の経験を生かして広報コンサルタントとして企業などのリスクマネジメントのアドバイザーをしている。特に不祥事発生後のリリースや謝罪会見などは、その巧拙で企業の存続にまで影響するだけに極めて重要であることは、これまでの不祥事報道を見れば明白だ。会見者の発言はもちろん服装や視線までが企業のイメージを固定化するだけに映像メディアの裏を知る経験は、重宝される。ただ、テクニックだけではリスク対応はできない。FACTAの切れ味鋭く突っ込む様々な業界の現状や課題、スキャンダル報道は、企業防衛のアドバイスをするためには必要不可欠の情報だ。「こんなやばい状況なのか」とため息をつきながら貴重な情報を元に企業防衛の裏の対策を考える。まさに私にとって暗闇の内部を覗く内視鏡なのだ。大手メディアが伝えられない真実を伝えるクオリティーペーパーとして、山も谷も嵐も乗り越えて今後も読ませてほしい。
「日本広報支援機構」特別顧問/龍谷大学社会学部教授 岸本文利