衆議院議員 元国家戦略担当大臣 古川 元久氏 (聞き手/編集長 宮嶋巌)

「ギブアンドテイク」で喫緊の政策を実現

2022年5月号 POLITICS [リーダーに聞く!]

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1965年生まれ。東大法卒。大蔵省を経て1996年衆院初当選(愛知2区・当選9回)。内閣官房副長官(菅内閣)、国家戦略担当大臣(野田内閣)、国民民主党幹事長、党代表代行などを歴任。

――「プーチンの戦争」で世界秩序はどう変わりますか。

古川 第二次大戦の戦勝国であり、国連安保理の拒否権を持つ常任理事国のロシアが明白な国際法・国連憲章違反の軍事侵攻を行ったことにより、すでに揺らぎ始めていた大戦後の秩序の崩壊が本格的に始まりました。「戦後の終わり」或いは「新たな戦前」が始まったと捉えるべきではないでしょうか。

――戦争はいつまで続くか。

古川 新しい秩序は古い秩序が壊れた混乱の中から生まれてきますが、まだ壊れ始めたばかり。新しい秩序ができて落ち着くまで、10年以上かかるのではないか。思うに、冷戦崩壊後、経済のグローバル化が進む中で政治や国家の役割はどんどん小さくなっていきました。しかし混乱の世にあって、人々の命と暮らしを守るのは政治の責任であり、国家の役割です。その意味で今後、「政治と国家」の復権が求められてくると思います。

――日米同盟と核の傘があるから日本は安泰でしょうか。

古川 まずは「自分の国は自分で守る」のが大前提であることを自覚すべきです。日米同盟はもちろん重要ですが、私たちがこうした覚悟を持ち、必要な備えをすることで、同盟関係もより強固になるはずです。

――諸物価の高騰に加え、「有事の円安」が懸念されます。

古川 いま足元で起きているエネルギーや食料品の価格上昇は、基本的にウクライナ危機を受けてのものではありません。その影響が本格的に出てくるのはこれからです。しかも長期化する可能性が高い。経済安全保障のための経済構造改革も物価上昇要因となります。一方、インフレ率を上回るほどには賃金は上がっていない。このままでは深刻なスタグフレーションに陥りかねません。かかる危機感を持ち、それをどう防ぎ、国民生活を如何に守るか。政治が知恵を絞り、迅速果断な手を打たなければ、与野党ともに国民からそっぽを向かれてしまいます。

――「予算に賛成したから野党ではない」と叩かれています。

古川 よく我が党は「与党と野党のどちらを向いているのかわからない」と言われますが、我々が向いているのは「国民」です。私たちが提案している政策は、いま国民のために必要な政策です。与党を交渉のテーブルにつかせるテコとして、予算に賛成する戦略をとりました。何かをテイクするためには、まずギブが必要です。ギブアンドテイクとは言っても、テイクアンドギブとは言わないでしょう。

――国対委員長として日米同盟破棄・自衛隊解消の共産党との関係をうやむやにする立憲民主党との距離は埋めがたい?

古川 立憲民主党はどうしたいのか見えてきません。共産党との関係もそうですが、野党第二党の日本維新の会との関係をどうするのか。現有議席こそ半分足らずとはいえ、支持率では肩を並べる維新の会と敵対しながら「野党協力を」と言われても、リアリティを感じません。

――7月参院選までに47都道府県連の設立を目指しています。

古川 我が党の候補者のいない地域でも比例票獲得500万を目指して全力を尽くさなければならない。そのための活動拠点・主体を作るためです。

――世論調査の支持率が共産党と並ぶ2%台になりました。

古川「対決より解決」をモットーとする私たちは、政局ではなく政策で存在感を示したい。その思いが少しずつ国民に理解されつつあるのではないでしょうか。さらに政策を磨き、提案し実現に漕ぎつけることで存在感を高めたいと思います。

(聞き手/本誌編集長 宮嶋巌)

   

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