2021年10月号 INFORMATION
喫煙が体に害があるということは周知の事実です。
一方2025年においても世界で10億人以上の人が喫煙を続けていると推測 (*1)され、喫煙による害をゼロにすることは困難です。では、たばこ会社にできることは? 公衆衛生の専門家、山川先生と、フィリップ モリスの飯田がお伝えします。
*1 世界保健機関たばこ関連報告書(2015)
「害の低い代替製品への移行を喫煙者に提示できれば、公衆衛生の面からも意義がある」(山川氏)
イギリスやオランダを中心に提唱され実践されてきた公衆衛生施策「ハーム(害)リダクション(低減)」がありま す。これは個人が健康被害をもたらす行動をすぐに止めることができない時、その行動に伴う害を減らすことを目的としたものです。たばこの問題にも、この考え方を当てはめることが可能です。紙巻たばこよりも害の低い代替製品への移行を喫煙者に提示していくことは、公衆衛生の面からも意義のあることだと思います。(山川)
「燃焼をなくす」ことが、 喫煙の害を低減する鍵。
たばこ葉が高温で燃えることによって、6千種類以上の化学物質が発生し、その煙の中には、喫煙関連疾患の原因となる有害性成分がおよそ百種類含まれます。たばこ葉に火をつけて「燃やす」 のではなく「加熱」すれば、煙が出ず、 発生する有害性成分の量も大幅に低減 できます。(飯田)
そのような製品は、ハームリダクションの観点から大変有効な紙巻たばこの代替製品であると言えます。とはいえ、有害性成分はゼロになっているわけではく、たばこ葉を用いた製品である以上リスクがないわけではありません。(山川)
加熱式たばこなどの煙の出ない製品 にもリスクがないわけではなく、成人喫煙者にとってベストな選択肢は禁煙ですが、それでも、喫煙を続ける方々 がいる以上、紙巻たばこと比べて、害を低減する可能性のある製品を開発し、提供することは、私たちの責任です。
すでに成人喫煙者の4人に一人は加 熱式たばこを使用(*2)しています。
*2 厚生労働省 国民健康・栄養調査結果(2019)
(右)飯田朋子 フィリップ モリス インターナショナル ディレクター(科学渉外アジア担当)
ソニー株式会社、マサチューセッツ工科大学 バイオテクノロジーセンターなどを経て、2019年7月から現職
山川正信 びわこリハビリテーション 専門職大学学長
京都大学大学院修了後、公衆衛生学を専門に、滋賀医科大学を経て大阪教育大学教授、宝塚大学学長を歴任。2020年4月から現職
加熱式たばこの販売開始に伴って紙巻たばこの消費量が4年で34%も減少(*3) しました。
*3 Cummings et al. What Is Accounting for the Rapid Decline in Cigarette Sales in Japan (2020)
適切な規制環境と社会の後押しがあれば、今後10~15年の内に紙巻たばこを煙の出ない製品で置換え、 日本で「煙のない社会」を実現することも不可能ではないと信じています。 (飯田)
Source:What Is Accounting for the Rapid Decline in Cigarette Sales in Japan? K. Michael Cummings, Georges J. Nahhas, and David T. Sweanor
たばこの「事実」をもっと知りたい方は https://www.smokefreenippon.jp/