ブーム去って4期連続赤字 クリスピー・ドーナツの凋落

2019年5月号 BUSINESS [インサイド]

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高品質のドーナツとコーヒーを提供し、世界32カ国、1300店舗を展開する米クリスピー・クリーム・ドーナツ。ふんわりとした食感のドーナツを口にしたことのある方も多いだろう。日本で事業を手がけるクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(東京都渋谷区)が今、深刻な業績不振に苦しんでいる。

ジャパン社は、大手菓子メーカーのロッテと経営支援会社リヴァンプが共同で米クリスピー社とフランチャイズ契約を締結し、2006年6月に設立された。設立時の初代代表取締役社長には日本マクドナルド出身の香坂伸治氏が就任。同年12月に国内1号店の「新宿サザンテラス店」(17年に閉店)がオープンすると連日長蛇の列ができ、「行列のできるドーナツ店」として大ブームを巻き起こした。

以来、積極的な出店攻勢で直営店を展開し、ピーク時の14年頃には60店舗を超えた。そのまま目標の100店舗まで突き進むかに見られたが、ほどなくブームは一巡。大手コンビニのドーナツ市場参入などもあり、15年以降、業容拡大に急ブレーキがかかった。

この結果、15年3月期から18年3月期にかけて4期連続の最終赤字を計上。特に18年3月期は不採算店閉鎖に伴う特別損失が膨らんだ。当期純損失額は11億円を超え、財務面は一時的に資本食い込み状態に。今年2月には計10億円の減資を行い、資本金は1億円、資本準備金は0円までそれぞれ目減りした。今や店舗数は40店台にまで落ち込み、かつての勢いは見る影もなくなった。

ジャパン社の代表は17年4月から若月貴子氏が務める。若月氏は大手スーパー西友を経て、本誌3月号で既報の「政商コンサル」冨山和彦氏率いる経営共創基盤で経験を積んだ人物。冨山氏仕込みの「突破力」で難局をどう乗り切るか。まずは直近の19年3月期決算で黒字転換できるかが試金石となりそうだ。

   

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