team S 代表取締役  高嶋 晃

「下敷き」のようなスマホ画面作る

2019年3月号 BUSINESS [ヴィジョナリーに聞く!]

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高嶋  晃氏

高嶋 晃氏(たかしま あきら)

team S代表取締役

1959年大阪府生まれ、59歳。84年東北大を卒業。シャープに入社し企画畑を歩む。2000年に退社し元『週刊ポスト』編集長の鈴木雄介氏とイーブックイニシアティブジャパンを創業。16年にteam Sを設立。

――スマホの画面の大きなのを作ろうとしています。

高嶋 指2本でつまんで持てるほど軽い、有機ELのスマートフォン用大画面モニターを製作中です。スマホから画面だけを引きはがして、大きくし、手元に持ってくるイメージです。見た目、軽さ、素材感は、みなさんが小学校でお使いになった下敷きです。コードネームは「SHITAZIKI」です。

――これを作ろうと思ったきっかけは何ですか。

高嶋 IT機器は、画像のハードウェアが一番遅れています。電子書籍事業をやっていて感じたのですが、スマホは読書端末として小さ過ぎます。タブレットは重くて、寝ながら見ていて頭に落ちて当たると痛いですよね。今のスマホ画面は能力自体も、コンテンツやサービス、アプリケーションを使いこなすのに不十分です。タブレットの画面もスマホを大きくしただけで、コンテンツ業界から見ると未熟です。2020年には5Gが本格化しエッジ・コンピューティングの時代に入り、放っておいてもスピードが100倍とかになり、今の画面では賄いきれなくなります。スマホはもともと電話から始まったので、今の縦長の形、サイズとなっていますが、将来はサイコロかクレジットカードみたいに小さく、薄く進化していくと考えています。そこで自分たちは、大きくて軽い画像系のハードウェアを作ろうと思いました。

――いつ頃完成しますか。

高嶋 2020年を目指しています。課題はスマホとSHITAZIKIを双方向で結ぶ無線部分の暗号化と高速化、および省エネ化、一体成形による薄型・軽量化です。暗号化についてはこのほど検証を終えました。この夏に次のステップの試作品を作り、残りの課題を解決していきます。

――シャープのご出身です。

高嶋 家に自叙伝があった創業者の早川徳次さんに憧れてシャープに入りました。商品企画部でビデオやLEDレーザー、ソフトウェアの企画を担当しました。その後、電子書籍の実験に取り組み、スピンアウトして電子書籍の会社を設立しました。16年には、シャープを辞めた、企画や販売のエース級のメンバーたちと、この会社「teamS」を立ち上げました。設計、開発、製造はいろんな企業の人たちと交わってチームを組んでやっています。早川さんは、私がシャープに入ったときにはもうお亡くなりになっていましたが、ものづくりの原点を教わった感じがします。早川さんの「まねされる商品を作れ」「二意専心 誠意と創意」というDNAを引き継いで、世の中に影も形もないものをゼロから作っていこうと思っています。

(聞き手/本誌編集人 宮﨑知己)

   

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