2017年11月号 BUSINESS
48ホールディングスのホームページ
札幌市に本社を置く、「48(よつば)ホールディングス」というマルチ商法の会社。
弊誌6月号はこの会社を、リップルコインという仮想通貨によって価値が保全されている「クローバーコイン」をMLM(マルチレベルマーケティング)の手法で販売していると説明している会社、と紹介した。だが最近、この会社に大きな変化があったようなので、そのうち重要そうな2項目を取り上げる。
第1の変化は、同社のホームページに、次のような記載が加わったことだ。
「クローバーコインは当社が独自に発行するコインであり、現時点では他のコインと連動するものではありません」
「また、当社のビジネスは特定商取引に関する法律の連鎖販売取引に該当します。登録にあたり、クローバーコインが『必ず値上がりする』『必ず購入額の○○倍になる』などのトークで勧誘を受けていた場合、登録は無効になることがあります」
「また、ご自身の認識と違っていたり、正しい勧誘を受けなかったと判断された場合は速やかに解約及び全額返金に応じますので下記までご連絡ください」
同社が出しているとみられる『48NEWS』の「号外」の記述や会員への説明を総合すると、同社には今年8月、札幌国税局が税務調査を、消費者庁が立ち入り検査をした模様だ。
その際の指導で、改めなければならないものを改め、それをホームページに書いたとしたら、それは結構なことだが、「価値を保全」していた仮想通貨リップルコインと「連動する」ものでなくなったら、クローバーコインの価値はどうなるのだろう。
同社は会員に対してこれまで、セミナーなどで、「48(よつば)はリップルが1円の時に50億枚買った。それが今40円だから、48の資産は2千億円ある」との趣旨の説明をしていた。その上で、クローバーコインは「リップルによって価値が保全されている」と説明し、販売してきた。
それが連動せずとなったら、クローバーコインはただのコインということにならないだろうか。しかも、アプリで使うものとしているから、コインと言っても、金属片としても存在しないのではないだろうか。
そのようなものをマルチ商法で販売しても良いのか、ねずみ講やマルチまがい商法を禁じる法律の立て付けから考えるとかなり疑わしいが、先に紹介した号外には、「消費者庁が検査を行った目的は弊社の勧誘方法や販売形態の確認のためであり、9月11日時点では違反が確定しているわけではありません」との同社の主張が載っている。
同社のもう一つの変化は、代表取締役社長に渡部道也氏が就任したことだ。渡部氏はマルチ商法の世界で名の通った人物で、所在はアジアとされている。
代表取締役会長になった淡路明人氏は、雑誌『経済界』(2017年1月24日号)で「アジアマーケットにおける雇用促進にもつなげていくというビジネスモデルです」と語っていたのでアジア進出は既定路線とも言える。
マルチ商法は、会員が増えているときは安定するが、逆に何かのきっかけで会員が急減すると、崩壊して会員が損失を出すことがある。商売する国の数だけ、規制当局がある。会員からすれば、他国で何をどう売ろうが勝手と言っておられない状況ではないだろうか。