2016年6月号 連載
FACTAで目にしたオリンパスの不正会計に関する記事や、ソニー追い出し部屋の連載に、釘付けになった。ソニーは、業績悪化の原因が90年代末からの組織的な問題にあるという話も耳にしていたので、ようやく出たという思いもあった。
問題点が明るみに出るのは、長い目で見れば悪いことではない。問題を放置すれば雪だるまのように大きくなり、東電原発事故のような大事故につながることもあるからだ。「貧すれば鈍する」の「貧」は、先送りの先に何があるのかという想像力の欠如も意味しているように思う。
だから、検証が必要になる。タカタのエアバッグの大量リコールや、ホンダが主力商品のフィットでリコールを繰り返した背景に、組織的な要因はないのか。トップの責任はどうだったのか。三菱自動車はなぜ何度も同じような問題を起こすのか。東芝の不正会計の根っこはどこにあるのか。マスメディアが十分に検証できていない今、FACTAへの期待が大きくなる。まあ、ほんとは自分ができればいいのだけど……。
木野龍逸(フリーランスライター)