「妊産婦の自殺率」に臆した東京都が記者会見潰し!

2016年6月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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東京23区で自殺した妊産婦は10年間に63人に上り、妊産婦の死亡原因トップは自殺――。妊娠・出産環境の厳しさを如実に示す調査結果が4月下旬に学会で発表された。

調査は東京都監察医務院と順天堂大が共同で実施。予想以上に厳しい現状が浮かび上がり、日本産科婦人科学会は2月4日午後4時、都内で記者会見を開くことを決めた。学会理事長と日本産婦人科医会副会長、監察医務院院長ら医療界の重鎮が顔をそろえての会見は、大きく報じられるはずだった。

ところが、直前になって監察医務院を所管する東京都から待ったがかかり、会見は中止に。「対策を打ってこなかったことが、マスコミの好餌になったらまずいと、都幹部が考えたのだろう」と、関係者は憤る。

この調査によると、妊婦と産後1年までの女性で、うつ病や産後うつなどで自殺(死亡)したのは、23区で05~14年の10年間に63人。その割合は10万人当たり8.5人となり、妊娠・出産に伴う出血や病気による妊産婦死亡率(10万人当たり約4人)の2倍。英国や北欧の妊産婦自殺率の2~3倍に上る。

妊産婦はホルモンバランスの急激な変動や生活の変化というストレスに晒される。特に23区のような大都市では孤立しやすく、児童虐待を誘発するケースもあるという。ところが、これまでデータがなく、ほとんど対策が取られてこなかった。

「今回の調査結果が世論を呼び覚ますはずだったのに、都が記者会見を潰すなんて信じられない。舛添知事が公費で外遊ばかりしているからだ」と、関係者は憤懣やるかたない。

   

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