女性が輝く先進企業! 「ファンケル」に大臣表彰

「女性管理職44%」の実績が評価され、首相官邸に招かれ大臣表彰の栄誉。創業以来、女性が活躍する風土が根付いている。

2016年3月号 INFORMATION
取材・構成/編集委員 和田紀央

  • はてなブックマークに追加

女性管理職研修

池森会長(左)と宮島和美社長

1億総活躍の目玉である「女性活躍推進法」が今春、いよいよ施行される。その節目を祝うかのように、無添加化粧品と健康食品で知られるファンケル(横浜市)が、内閣府が実施する「女性が輝く先進企業」に選ばれた。昨年12月に首相官邸で行われた表彰式には、創業者の池森賢二会長が招かれ、安倍晋三首相の祝辞を受け、加藤勝信内閣府特命担当大臣から表彰状とトロフィーを授与された。

同賞は、女性が活躍できる職場環境の整備を推進する企業が、投資家・就業希望者・消費者等から評価され、その取り組みが他の企業へ広がっていくよう、女性の登用に関する方針や取り組みを情報公開し、優れた実績を挙げた先進企業を表彰するもの。

ファンケルは▽女性従業員比率(67%)、女性管理職比率(44%)、女性役員比率(22%)がいずれも高く、契約社員から正社員への登用が年々増加している、▽女性管理職比率や産休・育休取得者の推移をホームページに掲載するなど、情報公開に積極的に取り組んでいる、▽女性社員が中心となって無添加化粧品、健康食品などの製品開発、宣伝、販売促進を担っていることが高く評価され、この度の栄誉に浴した。

「女性の感性を活かさないと損」

加藤大臣を囲む首相官邸の懇談会の席で池森氏は「化粧品から始まった当社は、自然と高い女性活用率になっています。育児休暇の取得率は100%、職場への復帰率も100%、短時間勤務の利用率も80%。ごく自然にこういうことが行われています。女性の感性を活かすことがものすごく重要。それをしない企業は損をする。一方、これから全国で350店舗の体制を築こうとしていますが、女性店長をどう育てるかが悩みです」と、受賞の喜びを語った。

社長室長の臼杵ひろみさん

ファンケルの設立は1980年。「正義感を持って世の中の『不(不安・不便・不満)』を解消しよう」という創業理念のもと、社員全員が一丸となり、育児休暇率と育児休暇から職場復帰率の引き上げ、子育てのための時短利用率の向上など、先進的な取り組みを展開してきた。

「お客様に美と健康を提供するため、創業以来女性社員が中心となり活躍する風土が根付いている当社では、出産や子育てのために退社することはなく、女性と男性が互いに支え合い、共に能力を発揮できる働きやすい職場づくりを推進してきました。雇用形態はパート・派遣・契約社員と様々ですが、皆に正社員登用の道があり、18年度までに女性管理職比率50%を目指します」と、社長室長の臼杵ひろみさんは胸を張る。

女性のキャリア形成の取り組みは、10年前に人事部が主導した「働く女性プロジェクト」から始まり、その目玉は出産・育児のサポート制度である。いわゆる「産休」は産前6週間、産後8週間取ることができ、その取得率は100%。育休は子どもが1歳になるまで認められ、例えば保育園が見つからないため復帰できない等の場合は、半年間の延長が認められる。男性社員にも配偶者が出産後、半年以内に5日間の育休が認められ、その取得率は80%に達している。

女性活躍の「行動宣言」を策定

「女性が輝く先進企業」授賞式

また、子どもが小学校を卒業するまで「時短」と呼ばれる短時間勤務が認められ、現在127名の対象者のうち101名(80%)の女性社員が時短を選択している。さらに、子ども1人につき小学校卒業まで年間8日間(子ども2人なら16日間)の「看護休暇」も取得できる。このほかファンケル独自の「よいこ手当」も働くママを支える。子どもが18歳まで1人につき毎月1万円の手当が正社員だけでなく、給与の少ないパート社員にも支給されるという。

「当社では16時半になると帰宅する人がいっぱいいるのが当たり前の光景です。子どもがいてもいなくても、若い人もベテランも、家庭と仕事を両立できるよう互いに支え合う。制度を利用する側が当然の権利と思わず、周りの人に感謝の気持ちを持って配慮することが、実は大事なことです」と、創業者の池森氏は話す。

ファンケルは女性が輝く企業のリーダーとして、神奈川県の黒岩祐治知事が音頭を取る「かながわ女性の活躍応援団」にも参加している。日産自動車のカルロス・ゴーン社長、高島屋の木本茂社長らと並んで初代団員となったファンケルの宮島和美社長も、「行動宣言」を策定した。そのスローガンは「女性が、どんどん主役になる」。「女性の活躍を一層推進するため、私たちトップ自らがリーダーシップをもって取り組みます」という行動宣言に基づく更なる取り組みが期待される。

   

  • はてなブックマークに追加