2015年11月号 連載
インターネットが本格的に普及して久しい。あらゆる情報がインターネットを飛び交い、既存メディアもインターネットをソースにした記事や番組が増えている。世の中のすべてのことは、インターネットが教えてくれる、ように見える。
しかし、インターネットには決して現れない情報も存在している。それは語りたくない個人の内面や、仲間内の密室の中での隠された出来事である。「FACTA」はひたすら、既存のメディアのようにインターネットの情報を追随していかない。むしろ、インターネットで話題になったようなネタは避けているのだろう。
ネット空間ではなく、現場そのものに突入し、関係者が言いたがらないことを聞き出し、資料を分析して闇の部分の構造を描き出す。
インターネットのなかった時代には当たり前であったジャーナリズムの基本が、伝統文化のように「FACTA」には残っている。今月も、職人や名人たちの取材の技を楽しみにしている。
デジタルメディア研究所代表 橘川幸夫