FACTAを読んで感じるのは、大手メディアでは取材していないのか、時折散見される自主規制的なものか分からないがほとんど書かない記事を、深掘りして問題提起していることである。取り上げる題材の幅の広さには常々驚かされるし、他メディアと異なった視点での伝え方は、ともすれば複眼的視点が不得意な日本のメディアへの強烈なメッセージに思える。これは日本の読者にとって貴重なことである。

自分があまり詳しくない分野の記事も興味深く読ませていただいている。これは本当なのかと記事の客観性に疑問を抱くことも正直あるが、細かい真偽の点よりも、異なった視点と見解を提供するのがFACTAの使命だと私は考えている。

9月号で東芝の会計監査人の責任を問題にしているが、これも他メディアではあまり取り上げていない。私も以前、外資系監査法人に勤務していたから特に思うが、7年間で2248億円の利益操作を見抜けなかったか、見逃していたか、いずれにしろ監査人の責任は大きい。

元外資系監査法人勤務　山形有司