編集後記

2015年1月号 連載
by 宮

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東電がイチエフの労働環境アンケートの結果を公表した。作業員4​5​8​7人(東電社員を除く)が回答を寄せ、年齢は10代が17人、20代10%、30代20%、40代30%、50代27%、60代10%。

全ての調査項目で1年前より良くなったとはいえ、雇い主から賃金や労働時間を記入した書面で説明を受けた人は75%、賃金割増や新規手当の説明を受けた人は70%にすぎない。一方、作業内容や休憩時間を指示する会社と賃金を払っている会社が違うと答えた人は28%にのぼり、「作業指示会社」と「賃金支払会社」の実名指摘(2​0​4件)を受け、偽装請負の疑いのある19社が浮かび上がった。

1Fで働くことにやりがいを感じている人は47%、むしろ不安を感じている人は44%、家族が不安を抱いている人は55%にのぼり、その理由としては被曝による健康被害88%、事故やけが49%、世間の評判34%を挙げた。

自由記入欄に思いの丈をぶつけたのは実に3​6​0​9人。その赤裸々な告白に打ちのめされた。

「1Fへ希望して転勤することになったと家族に言ったら『バカじゃないの。恥ずかしくて友達にも言えない』と言われた。世間の評価は、これが現実なのが悲しい」、「誇張した(場合によってはデマ)報道と、現場のギャップが大きい。テレビを見ていると、頭にくる」、「言われっぱなしではなく、真実はこうだと抗議すべき。働く皆のモチベーションに影響する」、「工事の進み具合を、なぜ、全国ニュースで流さないのか。国民の大半はもう無関心?」

東電の弁明欄には「肩身の狭い思いをされている作業員の方々には心より深くお詫びします。様々な機会を促えて1Fの取り組み状況を社会に発信し、皆さまがプライドを持って働けるように取り組んでまいります」とある。報道のあり方が問われているのに、現場の嘆きを報じたマスコミは皆無だ。

   

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