2013年9月号
DEEP
by 山口義正
民事再生法を申請したインデックスにボロが出てきた。循環取引に関与したとみられる子会社が浮かび上がっているのだ。
インデックス・グループで法的整理に追い込まれたのは、今のところインデックス本体のみで、子会社群は不思議なほど従来通りに事業を続けている。その中でインデックス本体に対して約5億2500万円の債権を抱えた第2位の一般債権者がインデックス・アミューズメント。取引先の動揺を鎮めるため、内 々に「(債権は)実体を伴った取引ではないから影響はない」と説明しているという。
語るに落ちる。「実体のない取引」とは、インデックスが行っていたとされる循環取引の片棒を担いでいたことを白状したようなものではないか。
2008年にインデックスから流出した学習研究社(現学研ホールディングス)株問題も未解決のままだ。業務提携に伴ってインデックスが保有することになった学研株は500万株で、発行済み株式数の5%弱に相当。これが山口組に流出したのではないかと騒動になった。
しかし学研では「インデックスが第三者に貸し出した当社の株式をどのように取り扱ったのかは、知る由もないまま現在に至っている」(グループ広報室)。学研や学研の親密先が株式を回収できているわけでもないと説明する。5年経っても、流出株の行方は分かっていないのだ。
7月に開かれた債権者集会で、居並ぶ債権者を前にこっくりこっくりと舟を漕ぐ落合正美会長。その無責任ぶりには呆れる関係者が少なくないが、とうに当事者能力を失って自分の会社さえコントロールできないのだろう。
そのためか、民事再生手続開始申立書には2月末時点で大株主と記されている東証一部上場のテーオーシーが「インデックス株は市場で買い付けたが、保有分はとうに売却済み。(保有比率などは)かなり古い数字ではありませんか」と突き放す。社外取締役を派遣していたフジ・メディア・ホールディングスもインデックスが民事再生法を申請するわずか3日前に取締役を引き揚げてしまった。
しかし周辺はにわかに慌ただしくなってきた。
かつて学研株を流出させたとされる元インデックス社員が、転職先のゲーム開発会社の役職を次々と「辞任」。昨年、300 億円を超す大型買収を行ったこの転職先では複数の子会社の取締役でもあったが、就任して1年足らずの7月にいずれも辞めたことが商業登記で確認できた。
米通信ブルームバーグは、インデックスのスポンサー企業の選定に20を超える企業が名乗りを上げ、8月中にも選定を済ませる見通しと報じた。しかしこの先、何が飛び出すか分からないのがインデックスだ。
警視庁記者クラブの記者たちの間では「証券取引等監視委員会の強制調査だけで、警視庁は動かないようだ」とも言われているが、落合会長の経営責任はどうなるのか。監視委の調査結果も出ておらず、警視庁は今すぐ捜査に乗り出す状況ではないが、情報収集は続けている。