「札付き」北朝鮮系信用組合に金融庁が「ペイオフ発動」か

2013年4月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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金融庁が水面下で日本振興銀行に次ぐ「第2のペイオフ」を検討している。標的にされたのは中京圏が拠点の北朝鮮系信用組合の一つ。表向きの理由は不動産融資の焦げ付きが累積し、「金融機関の自己資本比率規制の国内行基準(4%)を割り込み、いつ倒れてもおかしくない苦境が続いている」(金融庁関係者)という。

しかも、この信組の取引先は、その預金者のほとんどが在日朝鮮人であり、融資先の多くが在日系企業であるため、「ペイオフを発動しても、国内経済や日本人には全く影響がない」(同)と見られている。

金融庁の強硬姿勢の背景には北朝鮮問題がある。度重なる北のミサイルの発射実験や核実験に対して、政府は経済制裁措置を実施してきたが、効果が上がっていないからだ。くしくも3月8日には、国連安全保障理事会が3度目の核実験を強行した北朝鮮に対して、金融凍結などの経済制裁を決めた。一方、国内では3月12日、不法登記や不正融資問題で指弾された朝鮮総連本部ビル(東京・千代田区)の競売入札が、整理回収機構の申し立てで開始された。

こうした内外の制裁措置に加えて「北朝鮮への送金パイプになっている札付きの信用組合を潰すことで、蛇口を締める狙いがある」と、首相官邸筋は漏らす。「ペイオフの実施はまだ決まっていないが、政府がペイオフを考えていることをわからせるだけでも経済制裁効果がある」と言う。ボタンを押すか否かは、北朝鮮に厳しい姿勢を貫く安倍首相の政治判断との見方も。

   

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