「2020年東京五輪」招致の大チャンス!

新浪 剛史 氏
経済同友会副代表幹事、ローソン社長CEO

2013年1月号 DEEP [インタビュー]
インタビュアー 本誌 和田紀央

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新浪 剛史

新浪 剛史(にいなみ たけし)

経済同友会副代表幹事、ローソン社長CEO

1959年横浜市生まれ。慶大経済卒。三菱商事入り。ハーバード大でMBA取得。43歳の若さでローソン社長に就任。2010年より経済同友会副代表幹事を務める。財界のホープである。

――経済同友会の東京オリンピック・パラリンピック招致推進プロジェクトチームの委員長としてご活躍ですね。

新浪 ロンドン五輪メダリストの感動のシーンを背景に「この感動を次は、ニッポンで!」と銘打ったポスターを見かけたことはありませんか。2012年5月、国際オリンピック委員会(IOC)は20年夏季五輪に名乗りを上げた東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)を最終候補地に選びました。13年9月の決定まで、激しい招致合戦が展開されますが、私の見るところ東京が選出される確率は80%以上(笑)。

東京都は五輪開催の経済波及効果は約3兆円と試算していますが、そればかりではない。我々世代は1964年の東京五輪を通じて、明日への希望を持つことができました。同様に、私たちは次世代に希望と夢のきっかけ作りをしていくべきです。開催まで7年あれば、アスリートを目指す若者たちの「夢」につながる。何より、世界が注目する大舞台に選ばれ、開催する「力」を示すことで、全国民が勇気づけられます。しかも、大震災から復興した日本の姿を世界にアピールできます。

――欧州経済危機の渦中にあるスペインはともかく、イスラム圏で初開催をアピールするイスタンブールが本命では?

新浪 トルコに隣接するシリアは内戦状態にあり、紛争解決の糸口が見えない。海峡を挟んで分散する大会関連施設や都市交通インフラの整備も不十分と指摘されています。

一方、東京の開催計画は非常にコンパクトで、主要競技会場は都心の半径8キロ圏に集中させ、道路、地下鉄網の充実、ホテルの質と量で高い評価を受けました。もちろん、東京招致には、原発事故と電力不安を克服し、安心・安全な国づくりへ邁進している姿を、国際社会に見せなければなりません。

12年10月に東京でIMF・世界銀行の年次総会が開かれましたが、世界の金融VIPが、日本のホスピタリティ(おもてなしの心)の高さに感動して帰国しました。この招致活動を通じて、大震災の時に助けてくれた世界の人々に「ありがとうの気持ち」が伝えられたらとも思います。

――「東京五輪」の弱点は?

新浪 IOCの独自調査で、五輪開催の国民支持率が、日本は47%と低いこと。他の2都市は70%を超えています。IOCは年明けに2回目の調査を電話とネットで行います。一人でも多くの人に東京五輪まであと一歩であることを知ってもらい、70%をクリアしたいですね。

LIXILの藤森義明社長(61)、リクルートの峰岸真澄社長(48)、森ビルの辻慎吾社長(52)に協力をお願いして、若手経済人によるキャンペーン活動も盛り上がってきました。ソーシャルメディアも活用し、メダリストによる招致イベント開催などで、世論喚起していきます。

予算面では最小限を目指し、公共投資は耐震や必要な建物・交通機関の整備に限るべきです。商業イズムになりすぎた五輪自体を新たなステージに昇華させるアイデアを提案していきます。

   

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