2013年1月号 連載
「百聞は一見にしかず」とはよく言ったものだ。先日の石炭火力発電所見学でこの思いを強くした。
横浜にあるJパワーの磯子火力発電所2号機は、最新鋭の石炭火力。完全に自動化されており、運転は10人、煙突から出る煙は透明、CO2も以前より大幅に少なくなっている。
もちろん、3年前にできたこの2号機が今注目されているのは、原発が稼働不能になっているからだ。これまでは輸入石炭が安かったにもかかわらず、原発中心の政策の中で見捨てられていた。が、「想定外」の事態では、これまでの裏と表が逆転する。「裏」の石炭火力が「表」舞台に登場したわけだ。見ると、石炭火力は思わぬ進歩をとげていた。
大手マスメディアはどうしても表の報道が多い。しかし、裏が突然表になることがある。裏も絶えずウオッチすることが大事で、これが想定外への備えにもなる。FACTAの記事も原発推進一辺倒の中での石炭火力発電所のようなものかもしれない。大手マスメディアを定年となった身の正直な感想だ。
メディアと広報研究所主宰 尾関 謙一郎